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ドル上昇、予想上回る米雇用の伸び受け=NY市場
[ニューヨーク 5日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、3月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが予想を上回ったことを受け、ドルが上昇した。
雇用統計では非農業部門の雇用者数が19万6000人増と、前月の17カ月ぶりの弱い伸びから加速し、予想の18万人増も上回った。ただ時間当たり賃金は前月比0.1%増と、伸びは前月の0.4%から鈍化。予想の0.3%も下回った。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)の世界外為戦略部門責任者、ウィン・シン氏は、「非農業部門雇用者数は予想を若干上回り、2月分はやや上方修正されたが、時間当たり賃金は期待外れな結果となった」とし、「強弱が入り混じる内容だった」と述べた。
雇用統計発表を受けドルは当初は下落し、その後は上向くなどの動きが出たが、相場への影響は総じて軽微だった。午後の取引で主要6通貨に対するドル指数は0.10%上昇の97.402となっている。
連邦準備理事会(FRB)が3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で年内の利上げはないとの見通しを示して以来、金融政策の行方の手掛かりを得ようと市場は経済指標に注目。ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシン氏は「FRBが年内に利下げに動くとの観測は時期尚早だが、賃金圧力がまったく見られていないことを踏まえると、年内の利上げ観測は否定される」と指摘。「このため、FRBが様子見姿勢をとり状況を見極めようとする中、再びどっちつかずの状態に入った」と述べた。
トランプ米大統領は雇用統計を受け、FRBは利下げすべきと強調するとともに、経済の下支えに向け非伝統的政策である「量的緩和」の再開が必要になると述べた。
市場は米中通商協議の行方にも注目。トランプ大統領は前日、中国との合意はかなり近づいており、4週間以内に発表する可能性があると述べている。
英ポンドは軟調。英国のメイ首相はこの日、トゥスク欧州連合(EU)大統領宛ての書簡で、離脱期限を6月30日に延期することを申し入れたが、再延長が実現するか疑念が出ている。