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中国人民銀、預金準備率引き下げ 全銀行対象に1%ポイント
[北京 4日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は4日、銀行の預金準備率を2段階で合計1%ポイント引き下げると発表した。景気減速が加速するリスクを抑えるため、新規融資向けに1160億ドルの資金を金融システムに供給する。
預金準備率の引き下げは今年初めてで、過去1年で5回目。
現在、預金準備率は大規模銀行が14.5%、中小銀行は12.5%。引き下げは全銀行が対象で2段階で実施。資金需給が逼迫する春節(旧正月)連休前の1月15日と25日にそれぞれ0.5%ポイント引き下げる。
今回の措置は、正味8000億元(1165億1000万ドル)の資金供給に相当する。引き下げ幅は市場予想の上限で、資金供給規模は昨年1月以降の5回の引き下げのなかで最大だった。
人民銀の発表の数時間前、李克強首相が、預金準備率の引き下げや減税など、一段の景気支援措置を講じる方針を示していた。
南京証券のアナリスト、Yang Hao氏は「スピーディーで大規模な預金準備率引き下げは、成長を安定させようとする政策担当者らの決意を示す」とし「現在、中国経済は国内、対外的に問題を抱え非常に強い下押し圧力を受けている」と述べた。
キャピタル・エコノミクスはリポートで「今後数カ月間に政策緩和がさらに進む」との見方を示し、「与信の伸びがなお鈍っており、与信回復の効果が経済に表れるには普通6カ月かかることから、見通しへの懸念はあと数カ月はくすぶり続ける」と指摘した。
<さらなる政策支援>
ここ数カ月の経済指標は景気減速が続いていることを示し、市場では、今年に入り預金準備率がさらに下がると予想されていた。
しかし、人民銀行は、経済成長は依然、妥当なレンジ内にあるとし、大規模な刺激措置はとらず穏健な金融政策を継続すると表明した。
「妥当で十分な流動性を維持し、マネーや与信、社会融資の規模の妥当な伸びを維持し、マクロ・レバレッジを安定化し、財政や対外収支の均衡を目指す」とした。
アナリストらは、持続可能な景気回復に向けて政府は景気支援措置を打ち出し続ける必要があるとみているが、経済成長や雇用創出に不可欠な民間の中小企業向け融資の拡大を狙った人民銀行の施策が思ったような効果をあげていないと指摘する。
基準金利の引き下げは、人民元相場を押し下げ、債務リスクを高める恐れがあるため、最後の手段とみられている。
人民銀行は4日の会議後、流動性を適度に潤沢な状態に保ち、市場金利の安定を維持すると表明した。
*内容を追加して再送します。