サッカーは「瞬間」のスポーツだ。攻防は90分間続くが、ファンの記憶に残るのは1つの鮮やかなゴールや、息をのむようなGKのセーブ、あるいは勝敗を分けたPKの判定だ。

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時が過ぎれば、ある1試合の記憶は凝縮され、ほぼ消えることもある。代わって大きな物語が紡がれる。「あの年、うちのチームは土壇場で何とか勝ち越す試合ばかりだったな」とか、「けが人が多くて優勝争いから脱落したよね」というように。

30年以上前から日本サッカーを見てきた者として、僕が覚えている重要な瞬間は、けっこう変わっていると思う。だが僕の中にある「物語」は、日本サッカーを見てきた人なら誰もが共有できるものだろう。それは失望と挫折を重ねながら、世界のサッカーの周縁から中心へと進んできた苦闘と勝利の物語だ。

僕にとっての「瞬間」のうち2つは、この上昇の歩みの両端にある。一方の端は1993年、Jリーグの最初のシーズンが始まった週末。幸運にも僕は万博記念競技場(大阪府吹田市)にいて、ガンバ大阪-浦和レッズの試合を見ていた。試合は退屈で、ピッチの状態もよくなかった。

ガンバが1-0で勝ったのだが、よく覚えているのはガンバのGK本並健治がボールをドロップキックで前線へ高く、遠く蹴り出したときだ。周りの観客が、感嘆の声を漏らした。「見た? すごい!」。ファン層はまだ決して洗練されているとは言えなかったし、ピッチ上のサッカーも明らかに発展途上だった。

記憶に刻まれた「三笘の1ミリ」
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