二大大国は対照的だ。だがいずれも、東南アジアでの地域秩序構築を狙っている。

ASEANにとってはチャンスであり、警鐘でもある。マレーシアの外交的対応は、紛争発生時にASEANが今も意義ある行動ができる証拠だ。しかしASEANの内政不干渉原則は、人道危機や軍事的ナショナリズムの前では正当化がますます困難になる。さらに重要なことに、ASEANは地域的連帯の場ではなく、地域外大国のための劇場に化す危険にさらされている。

二大国の影響力の下で

貿易を武器にしたトランプのパフォーマンス外交は、取引による平和構築手法として最悪だ。当事者主導の紛争解決がむしばまれ、外圧がもたらす平和は本質的にもろい。

中国は主権をより尊重しているように見えるかもしれないが、これも戦略だ。強圧的という印象を与えずにASEANにさらに食い込めれば、水面下で影響力を拡大できる。

確かに、停戦は実現した。だが米中の目が光るなかでは、か細い外交の糸でつなぎ合わされた停戦にすぎない。

カンボジアの交渉姿勢が不誠実だというタイの非難は、より根深い信頼問題を指し示している。2国間で解決の糸口を探りたいタイに対し、国際法による解決を求めるカンボジアの主張は国境問題の国際化という欲望の表れだ。不一致は解消されず、恒久的な解決への道が複雑化している。

アメリカや中国の鶴の一声だけなのか