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スペインあれこれつまみ食い

松尾彩香|スペイン

テラス席禁煙法案 スペインで進むタバコ政策

©️Shutterstock - Nopphon_1987

パンデミックが落ち着き久しぶりに日本に一時帰国した時、居酒屋など屋内でタバコが吸えなくなっていたことにとても驚きました。非喫煙者の私にとってはとても嬉しい変化ではありますが、喫煙者の方にとってはどんどん厳しくなっていく規制に肩身が狭い思いをしている方も多いのではないでしょうか。

こちらスペインでは、日本に比べると規制がそれほど厳しくなく、屋内での喫煙は2011年に法律で禁止されたものの、屋外での喫煙に関しては未だに規制がありません。飲食店で屋内でタバコを吸うことができない喫煙者たちはテラス席を好むため、連日レストランのテラス席は取り合いになったりするのです。さてそんなスペインで今、テラス席の喫煙を法律で規制しようという動きがあり、喫煙者たちを震え上がらせています。

 

テラス席禁煙法案

このテラス席禁煙法案を持ち出したのは先月新たに健康省大臣に就任したばかりのモニカ・ガルシア大臣。この法案にはテラス席に限らず子供が集まるような遊具がある公園や学校の周辺、また海水浴場や公共交通機関の停留所なども禁煙エリアとして含まれています。実はバルセロナがあるカタルーニャ州では、他の州に先駆け今年からこの禁煙法案が適応されているのですが、国内全体ではなかなか法律制定に踏み出せず今に至っています。パンデミックの渦中では感染対策のためあらゆる州でテラス席の禁煙が行われましたが、多くの喫煙者からの強い反対の声と経済的な影響が考慮されて感染対策が解除されると同時にこの禁煙対策も早々と撤廃されました。保守派が政権を握る首都マドリードの市長は今回新たに持ち出された法案を「馬鹿げている」と批判し、消極的な姿勢をあらわにしています。環境汚染などの観点からすでに海水浴場での喫煙を禁止している州はすでにいくつか存在するのですが、基本的にどこでも気軽にタバコが吸えてしまうスペインでこれらの法案を成立させるのは難しく、また保守派が権力を握っている自治体の中には、これまでマドリード州の左派政党を率いてきたガルシア大臣に反発する意味でこの法案を拒絶している自治体もあるように思います。

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©️Shutterstock - New Africa

 

スペイン人とタバコ

スペインの喫煙率は25%程度と言われており、厚生労働省が発表している日本人男性の喫煙率25%と統計上では変わりはありません。しかし限られた喫煙所でしかタバコが吸えない日本と比べ、どこでもタバコが吸えてしまうスペインでは、喫煙者の姿を目にする頻度が圧倒的に多いように感じます。例えばスペインでは歩きタバコは規制されていません。このクリスマスシーズン、首都マドリードは初詣の神社のように道が人で埋め尽くされるような混雑状態ですが、そんな中でもタバコを吸いながら歩く人はたくさんいます。それどころか片手で子供の手を引きながらや、ベビーカーを押しながらタバコを吸う親の姿すらもたくさん目にするのです。また、スペインに来て驚いたのがタバコのポイ捨ての多さ。一応ポイ捨ては法律で罰金の対象になっているようですがほぼ全くと言っていいほど取り締まりはされておらず、道にはそこら中にたくさんの吸い殻が投げ捨てられているのがとても目につきます。非喫煙者である私はテラス席禁煙と一緒にこれらも厳しく取り締まってくれればいいのに内心思ったりしていますが、自由すぎると言っても過言では無いほど寛容な国スペインでは、何かを取り締まるという行為は日本ほど容易ではないのかもしれません。

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筆者撮影
 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

2015年スペイン巡礼(カミノデサンティアゴ)フランス人の道を完歩。スペイン語習得のために渡ったコロンビアでコーヒー農家になるもスペイン移住の夢が捨てられず、現在はコロンビアのコーヒー事業を継続しながらマドリードのベッドタウンでひっそりとスペインライフを満喫中。

Twitter: @maon_maon_maon

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