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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

英国式誕生日の過ごし方 − テイク・ザットのライブでおめでとう!

席からのライブの様子。最近のライブは写真も動画もスマホで撮り放題で驚いてしまう。しかも立ち上がって踊ったり、一緒に歌ったりするのもアリだ。最初こそおそるおそるだったけれど、2万人で歌って踊るのは気持ちがよくて後半は思い切り楽しんだ。筆者撮影

 英国に来てから、誕生日を祝う機会が増えた。日本に住んでいた頃は、少なくともわたしの周りでは職場のちょっとしたイベントや、家族や親しい友人のお祝いがあったくらいだった。けれど、この国では子どもはもちろん、大人にとっても誕生日は特別な日で、大いに祝う。

(サプライズでなければ)プレゼントは何がいいかと家族や親しい友人に何か月も前から聞かれ、友人との会話でも当日をどう過ごすかが話題にのぼり、1週間くらい前には郵送でカードが届き始める。スマホに続々とメッセージが送られてくる当日は、家や外で特別な食事をしたり、遊びに出かけたり。張り切って仕事を休む人さえいる。

 英国でも、大人への誕生日プレゼントには、ふだんしないような「体験」が人気だ。たとえばコンサートや観劇、食事、旅行、エステ、自分だけの時間などなど。家族や夫婦での経験もよいけれど、友だち、特に同性の友だちとワイワイするのも楽しい。パーティーを自分で開いて集まってもらうというのもよく聞く。

 先日招かれた友人の誕生日パーティーは、まさにそれらがふんわり合体したものだった。「プレゼントにチケットをいただいたので、女子だけでライブに行こう」というお誘いで、しかもゴージャスなことにボックス席が使えて、20人も参加できるというのだ。

 仲間うちで空間を独占できて、座席もゆったりしているボックス席には特別感がある。ホールによって決まりは異なるようで、コンサートごとにチケットを買える席もあれば、通年で購入していつでも使える席もあり、歌舞伎の桟敷席のように食事が付く席もある。今回は完全な個室で食事も出るということで、招いてくれたバースデーガールの友人は「しっかりパーティーできるよ!」と張り切っていた。

 この日の出演は英国のバンド、テイク・ザットだった。90年代から活躍する彼らはボーイ・バンド(アイドル的要素も含んだ男性のボーカルバンド)の先駆けと言われ、50代になり、5人いたメンバーが3人になった今も、世代を超えて根強い人気を誇っている。「バック・フォー・グッド」「ペイシェンス」「ルール・ザ・ワールド」などなど、世界中でヒットした曲も数多い。テイク・ザットのライブに行くと話したら、女性の友人はほとんどが「いいなー、楽しそう!」と目を輝かせた。

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地下鉄を降りてライブ会場に向かう途中に貼られていたテイク・ザットのポスター。アルバムのジャケットがそれぞれ特大に引き伸ばされたもので、ファンは1枚1枚をカメラに収めたり、仲間同士並んでポスターの前で写真を撮ったりと、ライブ前から盛り上がっていた。筆者撮影

Profile

著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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