統一教会問題、今も解消されない根本的な疑問
中国のネット上では今、こんな小噺(こばなし)がはやっている。登場するのはある地方の貧しい夫婦。生活していくため、夫は出家して坊さんになり、妻は出稼ぎに出た。しばらくして十分にお金をためた妻が言う。「家を買えるようになったから帰ります。あなたも俗人に戻って」。だが夫はこう返す。「あと1年待ってくれ。別荘も買えるようになるから」
皮肉を込めた一種のジョークだが、中国で近年、仏教寺院への寄付が増えていることが背景にある。中国人は共産党の教育でおおむね無神論者にさせられたが、経済成長とともに、お金だけでは幸福感を得られないと気付いた金持ちや、心のよりどころを求める底辺の人たちが宗教に走っているのだ。
中国では新興宗教は全て「邪教」扱いだが、仏教やキリスト教などの共産党が認めた宗教団体は活動ができる。
もちろん中国と日本では状況が異なるが、統一教会の報道を見ると私はこの小噺を思い出す。全ての宗教ではないが、政治的な姿勢を問わず、結局は金儲けがしたいだけのように見えてしまう。
いずれにしても、民主主義の国の政治家も、自由な社会で活動する宗教団体も、残念ながら私が来日前に思い描いていたものとは大きく異なるようである。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「周来友の人生相談バカ一代」)としても活動。
2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿
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