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「力が支配する世界」へ回帰? トランプ「私に国際法は必要ない」発言の意味

TRUMP’S ANTI-MORAL MORALITY

2026年1月20日(火)18時45分
ピーター・シンガー (プリンストン大学生命倫理学名誉教授)

ニューヨーク・タイムズのインタビューに答えるトランプ米大統領

いったい全体、トランプの道徳観とは何なのか。1期目の大統領就任演説で、トランプは「全ての国には自国の利益を最優先する権利がある」と言った。

実際、選挙期間中に唱えた、石油や石炭を「掘って、掘って、掘りまくれ」というスローガンは、気候変動の影響に苦しむ国よりも、アメリカの利益を優先する姿勢の表れだ。つまりトランプの道徳観とは、あくまで自国アメリカの国益を追求することのようだ。


だが、この道徳観には、誰もが自分の利益だけを追求すれば、誰もが傷つくことになるという弱点がある。

ほかにも問題はある。ミラーが語った世界観は新しいものではない。古代ギリシャの歴史家トゥキディデスは、強大な軍事力を持つアテネが、エーゲ海の小島メロスを侵略したとき、やはり「力の正義」を振りかざして降伏を迫ったことを記録している。

だが、たとえその主張に一定の真理があろうとも、強者が弱者に苦しみを与えることまで正しいとされるわけではない。

ミラーは歴史の掟(と彼が思い込んでいるもの)を持ち出すに当たり、道徳観は進歩するという希望を排除している。

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