【トクリュウ】犯行グループは「バカ」ばかり集める...闇バイトが一般人を引き付ける理由
タイパも影響? 犯罪性を増していく「サクラ」
かくしてトクリュウは、正体不明のまま活発に、ありとあらゆる犯罪行為を繰り返す。2007年に起きた闇サイト殺人事件のような"面識のない者同士がインターネットを通じて犯罪グループ化する"土壌ができあがっていった。
もうひとつの問題は、"機密性が高く、手っ取り早くシノギ(収入源)にありつける"ことに魅力を感じる一般人が増えたことだ。そもそもはイベントなどでの仕込み客を指す「サクラ」が犯罪性を増していったのである。
サクラとは「バイト感覚で兼業ができる」「フルタイムではなく隙間時間でできる」「難しい技術を習得せずに気軽に始めることができる」シゴトであり、ようは"手っ取り早く簡単にカネを手にしたい連中"のことである。
こういう不埒な願望を叶えてくれるのが、インターネットの利点を逆手に取った闇バイトやトクリュウなのだ。(95ページより)
短期間で十分な効果を期待するタイムパフォーマンス、いわゆる「タイパ」だけを重視する短絡的な市民感覚を利用しているわけだ。しかし、「うまい話には裏がある」ことは誰もが認識しているだろうし、そうやすやすと引っかかる人間はいなさそうに思える。
ところが前出の槙岡氏は、「やる奴はSNS(闇バイト募集)でいくらでも集まりますから」と断言する。そしてSNSを通じた闇バイト案件でかき集められる実行犯は、最初から"使い捨て要員"でしかない。
それどころか、こんな意見もある。
(ルフィ広域強盗事件の)捜査の段階で、犯人グループとの関係性を当局に疑われた経験を持つ青谷寿郎氏(仮名)によると、リクルーターの基準として闇バイトの実行役を集める際は、
「社会経験が乏しくて、政治や法律に関心もなくて、働く気はあるけど来月の給料日まで待てなくて、今日にでもカネが必要な奴が合格です」と話した。(110ページより)





