最新記事
BOOKS

【トクリュウ】犯行グループは「バカ」ばかり集める...闇バイトが一般人を引き付ける理由

2025年11月4日(火)20時30分
印南敦史(作家、書評家)

タイパも影響? 犯罪性を増していく「サクラ」

かくしてトクリュウは、正体不明のまま活発に、ありとあらゆる犯罪行為を繰り返す。2007年に起きた闇サイト殺人事件のような"面識のない者同士がインターネットを通じて犯罪グループ化する"土壌ができあがっていった。

もうひとつの問題は、"機密性が高く、手っ取り早くシノギ(収入源)にありつける"ことに魅力を感じる一般人が増えたことだ。そもそもはイベントなどでの仕込み客を指す「サクラ」が犯罪性を増していったのである。


 サクラとは「バイト感覚で兼業ができる」「フルタイムではなく隙間時間でできる」「難しい技術を習得せずに気軽に始めることができる」シゴトであり、ようは"手っ取り早く簡単にカネを手にしたい連中"のことである。
 こういう不埒な願望を叶えてくれるのが、インターネットの利点を逆手に取った闇バイトやトクリュウなのだ。(95ページより)

短期間で十分な効果を期待するタイムパフォーマンス、いわゆる「タイパ」だけを重視する短絡的な市民感覚を利用しているわけだ。しかし、「うまい話には裏がある」ことは誰もが認識しているだろうし、そうやすやすと引っかかる人間はいなさそうに思える。

ところが前出の槙岡氏は、「やる奴はSNS(闇バイト募集)でいくらでも集まりますから」と断言する。そしてSNSを通じた闇バイト案件でかき集められる実行犯は、最初から"使い捨て要員"でしかない。

それどころか、こんな意見もある。


(ルフィ広域強盗事件の)捜査の段階で、犯人グループとの関係性を当局に疑われた経験を持つ青谷寿郎氏(仮名)によると、リクルーターの基準として闇バイトの実行役を集める際は、
「社会経験が乏しくて、政治や法律に関心もなくて、働く気はあるけど来月の給料日まで待てなくて、今日にでもカネが必要な奴が合格です」と話した。(110ページより)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル財務相、レバノン南部の併合要求 「新たな

ワールド

トランプ氏、イランと「主要な合意点」共有 23日も

ビジネス

年内利下げの見方維持、イラン紛争早期解決なら=米シ

ワールド

トランプ氏、イランのインフラ攻撃5日間延期 トルコ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 3
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記者に、イスラエル機がミサイル発射(レバノン)
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 6
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 7
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 8
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 9
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 10
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中