最新記事
エネルギー問題

約束だけのロシア、結果を出す中国...キューバが「中国依存」を強める背景とは?

2025年7月3日(木)13時21分

キューバは2018年に中国の一帯一路構想に参加。以後中国は、キューバの運輸、港湾インフラ、通信の主要プロジェクトを含むいくつかの戦略的インフラプロジェクトに投資してきた。一方、ウクライナ戦争で泥沼にはまり込み、危機に直面するキューバへのさらなる融資に慎重なロシアは、歴史的なパートナーとしての地位が揺らぎつつある。

「ロシアは常に、実行よりも約束の方が大きかった」と、アメリカン大学のラテンアメリカ政治学教授、ウィリアム・レオグランデ氏は述べた。「もし中国が今、キューバの窮状を踏まえて支援を強化しているのであれば、それは真の命綱となる可能性がある。」

ハバナのロシア大使館も中国大使館もコメント要請に応じなかった。


 

結果を出す中国

キューバは深刻な電力危機に直面しており、昨年だけでも全国送電網が4度崩壊し、数百万人が停電に見舞われるなど、社会活動に大きな影響が出ている。こうした中、中国が太陽光発電プロジェクトへの大規模な投資を加速させており、同国にとって極めて重要なパートナーとしての存在感を高めている。

2月21日、キューバは首都郊外のコトロに新たな太陽光発電所を開設した。式典には、駐ハバナ中国大使とキューバのディアスカネル大統領が出席。大統領は声明で、このプロジェクトを「姉妹国である中国との協力」と称賛した。

送電網運営会社UNEによると、このほかに少なくとも8つの太陽光発電所が新たに稼働を開始しており、既存の施設と合わせて合計で約400MWの太陽光発電エネルギーを供給している。これは日中の不足電力の約3分の1に相当するという。

公式推計では、中国が資金提供する新規プロジェクトだけでも年内に総発電量が1100MWを超える見込みで、これにより日中の不足分をほぼ補い、夜間発電に必要な燃料の節約につながると期待されている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、EUが凍結資産を接収すれば「痛みを伴う対応

ビジネス

英国フルタイム賃金の伸び4.3%、コロナ禍後で最低

ビジネス

ユニリーバ、第3四半期売上高が予想上回る 北米でヘ

ワールド

「トランプ氏は政敵を標的」と過半数認識、分断懸念も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 8
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 9
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中