最新記事
軍事

中国戦闘機「殲10」が仏機を撃墜...実力は本物? 世界の戦闘機調達が変わる

Upgrading Asian Defense

2025年5月27日(火)17時45分
ジェームズ・ギルド

価格と性能だけではない

地政学的緊張が高まるなか、東南アジア諸国は防衛能力向上のための投資を増やしており、主要な兵器プラットフォームの調達はヨーロッパに頼っている。特に、戦闘機や軍艦といった重要な兵器や技術の供給を中国に過度に依存することを避けてきた。

その理由の1つは、最近まで殲10のような中国製品は戦闘での実績が乏しく、大きな市場を持たなかったこと。もう1つは、中国が東南アジア各国と繰り広げている領土紛争が、大規模な兵器取引の妨げになっていることだ。


最近の動向がこの方針を変化させる可能性はあるのだろうか。潜在的にはあり得るが、注意すべき点がある。第1に、単一の戦闘から確固たる結論を導き出すことは困難だ。詳細の検証は難しく、戦術、訓練、任務支援といった他の要因も大きく影響した可能性がある。殲10がラファールより優れていると断定はできない。

もう1つ重要な点は、産業の高度化を目指す工業化途上国にとって国防物資の調達とは、最良の装備を低価格で購入することだけではない。第2の、時にはより重要な目的は、技術、技能、そして国内生産能力を獲得することだ。16年にインドがラファール36機を購入した際には、ダッソーが現地のサプライチェーンを利用し、インド企業に投資するという「抱き合わせ」が条件に含まれた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ブラックストーンなどPE2社、医療診断機器メーカー

ワールド

米印、通商合意に近づく 関税15─16%に引き下げ

ビジネス

仏ロレアル、第3四半期増収率4.2%で予想下回る 

ビジネス

ノボノルディスク次期会長に元CEO起用、大株主の財
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 5
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 8
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中