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荒川河畔の「原住民」(27)

「今がチャンス」ホームレスになるため、40歳を過ぎて大阪から上京した男性

2025年4月11日(金)18時05分
文・写真:趙海成

何もかもうまくいかず、自殺しようと思った

高校卒業後、宇海くんは大学に行くことは考えなかった。最初はプラスチック成形の工場に就職したが、半年働いて辞めた。その後は接客業に従事し、飲食店やカラオケなどを転々としてきた。

宇海くんは25歳の時、彼女ができたことで、両親から離れて同棲生活を始めた。親の仕事の収入が不安定なので、仕送りをしていた。

「息子としての親孝行で(仕送りを)するべきだと思っていました。でも、お金を受け取った親は、感謝の言葉を一切言ってくれなくて、当たり前のように僕のお金を使ってしまったのです。僕はいい気持ちはしませんでした」

同棲生活をしていた彼女とは、3年付き合ったが別れてしまった。

「彼女は僕と将来結婚するつもりでした。ただ、僕はこのような家庭環境で育ったため、結婚に対して良い印象を持っていなくて、結婚するという考えが全くなかったのです。これが別れた原因だったと思います」

その後、30歳の時に再び彼女ができて、彼女は妊娠したが、大学を卒業して仕事に就いたばかりでまだ子供を望んでおらず、宇海くんには相談せずに中絶したという。そして付き合って2年目の時に別れた。

彼が言うには、理由は前と同じく彼の結婚に対しての恐怖心だった。

それからしばらく、一人の生活が続いた。

「僕はほとんどアパートに引きこもる状態を、お金がなくなるまで続けた。人と会いたくないし、働く意欲も失い、お金も減って、何もかもうまくいかないように感じた。こんな風に生きていくことは全く無意味なので、自殺しようと考えたこともあった」

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