韓国の政治は、なぜ「大混乱」を繰り返すのか...大統領の「帝王的」権力が変わらない理由

KOREA’S IMPERIAL PRESIDENCY

2025年3月20日(木)16時57分
イ・ユンウ(ジャーナリスト)

今の韓国で国会の権限強化が必要なことは誰もが認めている。司法と検察の人事を管理する独立した憲法上の機関が必要だという点でも、超党派の合意ができている。

しかし、次期大統領にふさわしい人物として世論の高い支持を得ている「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表や、与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)雇用労働部長官は、改憲を声高に叫ぼうとはしない。無理もない。自分が今後大統領になる可能性があるのなら、大統領の権限を制限するような法改正は避けたいだろう。


次期大統領候補の呼び声が高いほかの政治家、特に与党議員は、次期大統領に限り任期を3年とする案を主張している。そうすれば次期大統領の任期切れに伴う大統領選を総選挙と同時に行えるので無駄に税金を使わずに済むというのだが、

これは無理なこじつけだろう。次期大統領になる確率が高い李をさっさと退陣させようという魂胆が透けて見える。

与党は、大統領の免責特権を任期中の行為に関する刑事責任に限定する改正案も出している。これも李が大統領になることを見据えた動きだ。李は公職選挙法違反などに問われていくつか裁判を抱えているが、現行法では大統領になれば、これら全てに免責特権が適用されるからだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン、国連の制裁再発動なら対応へ

ビジネス

英労働市場、6月に急減速 求職者がコロナ禍以来の大

ワールド

アングル:独極右AfDが過激路線修正、現実主義へ転

ビジネス

米シノプシスのアンシス買収、中国当局が条件付きで承
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 2
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 7
    ただのニキビと「見分けるポイント」が...顔に「皮膚…
  • 8
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 7
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 8
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中