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荒川河畔の「原住民」(21)

ホームレスが「かりゆし58」前川真悟さんと作った名曲「かわがないてるよ」を知っているか

2025年2月14日(金)18時00分
文・写真:趙海成

荒川河川敷の「生命の守護者」征一郎さん

荒川河川敷の「生命の守護者」征一郎さん

荒川のホームレスが「生命の守護者」

征一郎さんが出演するミュージックビデオでは、4人の俳優が川で命を絶とうとする人を演じている。会社員や戦時中に人を殺した軍人、1人は追われているヤクザのようだ。

彼らはみな、心の苦しみとあがきに陥って、川に飛び込んで自分の命を終わらせようとしていた。

いざ飛び込もうとする瞬間、荒川の河川敷に住んでいる生命の守護者のようなホームレスが現れる。彼らの前に現れ、目を光らせ、微笑み、体を張って彼らを止める。

このホームレス役は、荒川周辺で数十年暮らしてきた征一郎さんである。

私は征一郎さんに聞いた。

「あなたは本当に自殺しようとする人を止めたことがありますか」

彼は言った。

「数年前のある週末、買い物に出かけ、荒川沿いの芝生を通っていた時でした。横たわって、とても苦しそうな若者を見つけたんです。彼の近くには多くの家族連れが楽しそうに遊んでいて、そばでもがいているその若者に誰も気づいていないようでした。

僕が買い物から帰ってきて、またそこを通ったら、遊んでいた人たちはみんな帰っていましたが、その若者はまだ元の場所に横たわっていたんです。

僕が体を軽く叩くと、彼は目を開けました。どうしたのかと聞いたら、こう教えてくれました」

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