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荒川河畔の原住民⑭

突然姿を消した荒川ホームレスの男性 何が起こったのか、残された「兄弟」は...

2024年12月4日(水)19時20分
文・写真:趙海成

これは私の推測に過ぎないが、もしあなたが斉藤さんの立場だったら、このチャンスを逃がすことができるだろうか。

いずれにしても、斉藤さんがその後戻ってきて、桂さんにきちんと説明をし、ついでに荷物を片付けたりすれば、丸く収まるはずだ。

そうすれば、私たちは彼のために送別会を開くかもしれない。しかし、そんな思いに反して、斉藤さんは急に出て行って以来、一度も姿を見せていない。桂さんだけでなく、斉藤さんのことを気にかけている友人たちにとって、どれほどやるせないことか。

荒川河川敷のホームレス

桂さんと斉藤さんは兄弟のように親しかった

器用で細やかな桂さんと、マイペースな斉藤さん

桂さんと斉藤さんは、私が最もよく知っているホームレスの2人だと思っている。

2人は同い年で、斉藤さんは桂さんより数カ月年上だ。ともに70歳になったという。

しかし、性格は大きく違う。

桂さんは器用で、生活の上では斉藤さんより有能で洗練されている。彼は見識が広く、器用だし、何をするにも細やかだ。しかも趣味が幅広く、将棋がとても上手だ。将棋を指せば、斉藤さんはずっと敗者だった。

斉藤さんは穏やかな性格をしており、マイペースで、少しだらしないところがある。自転車で缶を拾ってお金を得ているが、一番の趣味は競馬で、勝つことより負けることのほうが多い。しかし、斉藤さんはなかなかの囲碁の才能がある。その点、桂さんは脱帽しなければならない。

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