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荒川河畔の原住民⑭

突然姿を消した荒川ホームレスの男性 何が起こったのか、残された「兄弟」は...

2024年12月4日(水)19時20分
文・写真:趙海成

それどころか、桂さんは、斉藤さんを自分のところに引っ越すように誘ったのは間違いだったのではないかと反省し始めた。

「最初に私が斉藤さんに戸田橋からこちらに引っ越してくるよう勧めたとき、彼は少しためらっていました。ここが狭いのではないかと心配していて、来ても住む場所がないのでは、と考えていたようです。それで私が『大丈夫、私の家の裏にはまだ開発できるスペースがある』と言ったら、ようやく『それなら行くよ』と言ってくれたんです」

しかし、斉藤さんには問題もあったという。

「実はその時、彼はすでに足の病気を抱えていて、歩くと少しびっこを引いていた。それに、1~2年以内には福祉施設に入るつもりだとも言っていました。もしかしたら彼はその時、私の誘いを断るのが悪いと思ったのかもしれないし、こっちに来た後は、ここを離れて福祉施設に行くなんて話を切り出すのをためらったのかもしれない。それが原因で、福祉施設に入って足の治療を受けるタイミングを逃してしまったのかも」

ところで、私は別の推測をしている。

斉藤さんの桂さんに対する気持ちは、不満よりも感謝のほうが大きいに違いない。福祉施設に入りたい気持ちはあったかもしれないが、桂さんに対して「私は施設に入るから、これから、あなたは1人になる」と言う勇気はなかっただろう。

斉藤さんは中の様子を一目見ようと施設に行った際に、そこの快適な生活環境に一気に心を奪われたのかもしれない。お風呂、トイレ、エアコン、テレビがあり、自分の今の野外生活とは天と地ほど違う。さらに施設スタッフから「今日から入居できます。私たちはあなたに新しい布団を用意します」と説得されたのかもしれない。

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