最新記事
荒川河畔の原住民⑭

突然姿を消した荒川ホームレスの男性 何が起こったのか、残された「兄弟」は...

2024年12月4日(水)19時20分
文・写真:趙海成

「趙です。お久しぶりです!」

桂さんは笑みを浮かべて家のドアから顔を出して、間髪入れずにこう言った。

「斉藤さんが行方不明になった」

私は驚いた。

「そこに置いてあるのは斉藤さんの自転車ではないんですか?」

「それは斉藤さんのものではありません。彼は今年1月17日の夕方、自分の自転車で出かけてから、帰ってきていません。交通事故に遭って、もうこの世に別れを告げたのではないかと思いました」と、桂さんは言う。

「その後はどうなりました?」私は待ちきれずに桂さんに尋ねた。

「後で話を聞くと、彼は施設に入ったようです。たまに荒川河川敷に来る、施設の職員に聞きました。その人の話では、この前、確かに斉藤さんらしき人が施設に入ってきた、とのことでした。幸い、彼は生きているようです」

続けて桂さんは言った。

「しかし、斉藤さんは施設に行ったのに、なぜ事前に声をかけてくれなかったのかが分からない。私はその施設の人に、斉藤さんへの伝言を頼んだんです。自転車で帰ってきて、自分が残したものを整理してもらいたい。捨てるべきものは捨てて、捨てないものは施設に持っていってほしいと。でも、今日でもう2カ月以上経ちますが、斉藤さんの姿は全然見えません」

なぜ斉藤さんは急に姿を消したのか

斉藤さんの突然の行動に、桂さんは不満を持っていた。しかし一日中、斉藤さんが残した品物を整理し、分かりやすい所に置いて、斉藤さんが帰って来るのを待っていた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

フランス、米の圧力でG7サミットから南ア除外との見

ワールド

カナダ外相、G7諸国に新たな防衛銀行への参加働きか

ワールド

中国SMIC、イラン軍に半導体製造技術を提供=米政

ワールド

北朝鮮とベラルーシが友好条約に調印、平壌で首脳会談
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 3
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRANG』に託した想い、全14曲を【徹底分析】
  • 4
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 5
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 6
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 7
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 8
    トランプが誤算? イラン攻撃延期の舞台裏、湾岸諸国…
  • 9
    「予想よりも酷い...」ドラマ版『ハリー・ポッター』…
  • 10
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 9
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 10
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中