最新記事
露朝同盟

ウクライナのロシア支配地で北朝鮮軍将校6人が死亡、ミサイル攻撃に巻き込まれたと報道

Six North Korean Soldiers Killed on Russian Frontline: Reports

2024年10月7日(月)19時04分
レイチェル・ドブキン
対航空機火砲を撃つウクライナ兵

大砲を撃つウクライナ兵(バフムト、3月6日) Radio Free Europe/Radio Liberty/Serhii Nuzhnenko via REUTERS

<ロシアの「軍事同盟」先として存在感を強める北朝鮮。ウクライナの攻撃で、北朝鮮がロシアに武器・弾薬を売るだけでなく、訓練のために軍人をロシアに派遣する人的交流も始めている、という観測が裏付けられた>

ウクライナ東部ドネツク州のロシアが実効支配する地域で10月3日、北朝鮮の兵士6人が死亡したと、ウクライナの複数のメディアが4日、伝えた。

キーウ・ポストとインタファクス・ウクライナ通信は情報筋の話として、北朝鮮軍の将校6人を含む20人以上の軍関係者がミサイル攻撃で死亡したと伝えた。

メッセージアプリのテレグラムのロシア語チャンネル「クレムリンの嗅ぎタバコ入れ」によれば、さらに3人の北朝鮮軍の将校が攻撃でけがをし、治療のためにモスクワに移送されたという。

このチャンネルは匿名の軍関係者の話として、攻撃を受けた際に北朝鮮の将校たちは訓練場にいて、ロシア軍兵士から「攻撃や防御の訓練や、アメリカの武器への対処法」について説明を受けていたと伝えた。

本誌は5日、ウクライナ外務省には電子メールで、ロシア政府にはウェブサイトからコメントを求めたが、回答は得られていない。

ウクライナ国防省情報総局(GURMO)は昨年、北朝鮮の軍関係者がドネツク周辺のロシア支配地域に到着したとの見方を示していた。

一方で、ウクライナ軍の関連組織である国民抵抗センターは昨年9月23日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が北朝鮮の金正恩総書記に対し、ドネツク州とルハンスク州のロシア支配地域に建設労働者を派遣するよう求めたと伝えた。

相互防衛義務を負う関係?

2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、北朝鮮はロシアの同盟国としての存在感を強めている。アメリカは北朝鮮がロシアにミサイルなどの兵器を送っていると非難しているが、ロシアと北朝鮮は否定している。

6月、プーチンは24年ぶりに北朝鮮を訪問。その際にプーチンと金はいわゆる「包括的戦略パートナーシップ条約」に調印した。

この条約には、NATOの集団防衛体制の根幹である北大西洋条約第5条(1つの締約国が武力攻撃を受けたら、全締約国に対する攻撃とみなす)と類似の条項が含まれている。

北朝鮮の国営メディアが報じた条約の条文によれば、一方の国が「武力侵攻を受けたことにより戦争状態になった場合」、もう一方の国は「行使しうるすべての手段でただちに軍事的およびその他の援助を提供する」とされている。いわば「相互防衛義務」だ。

米国防総省のパット・ライダー報道官は6月、北朝鮮がドネツク州のロシア軍に人員を送る件について記者会見で尋ねられ、「間違いなく目を離すことのできない問題だ」と述べた。

「もし自分が北朝鮮軍の兵員管理の担当官だったら、ウクライナに対する不法な戦争で、砲火の餌食になることが分かっていながら自軍の兵士を送り込むという自らの選択に疑問を持つだろう」とライダーは述べた。

ニューズウィーク日本版 世界最高の投手
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月18日号(11月11日発売)は「世界最高の投手」特集。[保存版]日本最高の投手がMLB最高の投手に―― 全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の2025年

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ECB総裁の後任、理事会メンバーなら資格ある=独連

ビジネス

欧州委、グーグルの調査開始 検索サービスで不公正な

ワールド

米、中南米からの一部輸入品で関税撤廃 コーヒーなど

ワールド

米上院民主党、対中輸出規制を一時停止したトランプ政
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 5
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 6
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 10
    「ゴミみたいな感触...」タイタニック博物館で「ある…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中