最新記事
旧ソ連圏

西側と中ロの狭間で迷えるジョージア...10月議会選は「戦争か平和か」を選ぶ、「最後のチャンス」に?

THE WEST IS LOSING ANOTHER COUNTRY

2024年10月3日(木)16時08分
マシュー・トステビン(本誌シニアエディター)

「外国の影響」法案を支持する集会の参加者に手を振るイワニシビリ元首相

「外国の影響」法案を支持する集会の参加者に手を振るイワニシビリ元首相(4月29日、トビリシ) AP/AFLO

西側からの批判にジョージアの夢は強硬姿勢を強めている。先日は、10月の選挙で勝ったら野党の統一国民運動を違憲とすると述べた。彼らが言うには、統一国民運動は外国が組織した「グローバル戦争党」なるものを支持している。

この組織はウクライナの戦争を長引かせ、ジョージアからロシアに新たな戦線を仕掛けようとしており、LGBTQ+(性的少数者)の権利など「えせリベラル」なイデオロギーを擁護している張本人だという。


また、ジョージアの夢は物議を醸したパリ夏季五輪の開会式を、ジョージアの伝統的な家族観と未成年者を守るために新たな法律が必要な理由だと有権者に訴えている。

「10月の議会選挙は一種の国民投票であり、戦争か平和か、道徳の低下か伝統的な価値観か、外部勢力への従属か独立主権国家か、ジョージア国民は最後の選択を迫られる」

そして、自分たちが再び与党として選ばれることによってのみ、EUおよびアメリカとの関係を再構築できると、ジョージアの夢は主張する。

これに対し野党陣営は、公正な選挙で自分たちが勝利できると主張する。彼らが強調するのは、ジョージアのEU加盟が国民に支持されていることだ。昨年末にトビリシの非営利団体、国家民主主義研究所が行った世論調査では、加盟支持は80%近くに達している。

多くのジョージア国民は、ヨーロッパのよりリベラルな社会政策に必ずしも賛同しないかもしれないが、EU加盟がもたらす移動、貿易、雇用、投資の自由を望む声は高まっている。

「問題は、ジョージアで機能している大規模な偽情報のメカニズムだ。彼らはメディアやチャットのチャンネルを持ち、インターネットを利用して、人々を洗脳するために大金を投じている」とワシュゼは語る。

ほかにも野党勢力が分裂状態であることなどジョージアの夢の優位を専門家は指摘する。同党の創設者でオリガルヒのビジナ・イワニシビリ元首相は国内で最も裕福な実業家で、首都を見下ろす鋼鉄とガラスの宮殿はジェームズ・ボンドの悪役の隠れ家にも例えられる。

「この国で選挙に勝つことは非常に難しい。約30万人の公務員が政府の影響下にあるため彼らを行政資源として悪用できる」と、カカヒアは言う。「さらにジョージア企業の80%が与党を支持している」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油

ビジネス

米FRBは年内1─2回の利下げ必要=SF連銀総裁

ワールド

トランプ氏、イランとの取引国に「2次関税」 大統領
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    鉱物資源の安定供給を守るために必要なことは「中国…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 10
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 10
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中