最新記事
乱気流

「天井に人が刺さった」「垂直に落ちた」── 再び起きた「超」乱気流と恐怖と混乱の機内

1,600 Feet in 8 Seconds: Air Europa Passengers Recount Horror of Severe Turbulence

2024年7月3日(水)18時43分
ジーザス・メサ

「私は、天井とあらゆる配管を突き破った。20秒の間に、ありとあらゆることが脳裏を駆け巡った」

乗客の1人シルビア・ガルシアは、スペインの新聞「エル・パイス」に対してこう語った。「人生最後の日だと思った。パイロットは乗客に、8秒で500メートル降下したと話していた。乱気流どころではない」

「天井からぶら下がっている人が何人もいて、ひどいケガをして、足がぶらぶらしていた。人が空中を飛び、落ちてくるのを見た」と、ガルシアは付け加えた。

newsweekjp_20240703080112.png

「あれは乱気流なんてものじゃない。垂直降下だ。ただ揺れたのではなく、真っ逆さまに落ちた」と、43歳のウルグアイ人で心理学者のクラウディオ・フェルナンデス・アルベスはAFP通信に語った。

航空機の機体が安定を取り戻した時には急ブレーキがかかり、「車が衝突したかのように感じた」と、フェルナンデスは振り返った。多くの人は、他の乗客や、飛んできた物にぶつかった、とフェルナンデスは証言している。

複数の目撃証言によれば、2歳の子どもが荷物入れから出られなくなったほか、何人かは天井からぶら下がったままになり、落ちてくる時にケガをしたという。

アメリカ連邦航空局(FAA)によれば、乱気流はさまざまな気象条件によって、予想もしないところで起きる可能性があるという。乱気流によるケガの事例は比較的稀だが、FAAは、2022年に17件、2021年に6件の重傷事例があったと報告している。この5月には、ロンドンを出発したシンガポール航空のフライトが激しい乱気流に巻き込まれ、その後イギリス人の高齢男性が心臓発作とみられる症状で死亡する事故が起きた。

今回のUX045便の飛行中に起きた事故は、空の安全、さらには乱気流が民間航空にとって今後さらなる脅威になりうるのか、という問題をめぐる懸念を高めるものだ。激しい乱気流は稀なものであり、避けることができるケースが多いが、最近の研究では、気候変動がそのリスクを増大させている可能性が指摘されている。

(翻訳:ガリレオ)

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米マイクロソフト、英国への大規模投資発表 AIなど

ワールド

オラクルやシルバーレイク含む企業連合、TikTok

ビジネス

NY外為市場=ドル、対ユーロで4年ぶり安値 FOM

ワールド

イスラエル、ガザ市に地上侵攻 国防相「ガザは燃えて
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがまさかの「お仕置き」!
  • 3
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    出来栄えの軍配は? 確執噂のベッカム父子、SNSでの…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中