最新記事
米大統領選

バイデン大統領の討論会「大失敗」は側近の判断ミス

2024年7月1日(月)13時58分

事実とつっこみ

最近の外遊、特に6月のフランス訪問におけるバイデン氏の様子を見て、共和党側はソーシャルメディアで同氏の年齢を揶揄する動画を流した。しかしバイデン氏陣営は、国際舞台における強力な指導者ぶりをアピールできたとも考えていた。

6月21日にキャンプデービッドに向かう際、バイデン氏に同行した補佐官たちは上機嫌だった。バイデン氏が最も貴重な政治的資産、つまり「勢い」、「追い風」を背に討論会に臨むと信じていたからだ。


 

バイデン氏は、地元デラウェア州の別荘で数日間休養するまでの14日間、フランス、イタリア、西海岸などを飛び回っていた。この間、バイデン氏を見た何人かの人々によれば、同氏はぐったりしていたという。

討論会の6日前、バイデン氏とともにキャンプデービッドに着いた側近らは、討論会でのハードルは同氏の方がトランプ氏よりも高いと考えた。トランプ氏は現政権に文句を言うだけでいいかもしれないが、バイデン氏は「ファクト(事実)」を示しつつ当意即妙な指摘も入れる必要がある。

側近らは、トランプ氏が2020年の討論会よりもはるかに準備万端で臨むだろうと考え、矢継ぎ早に飛び出す嘘に対抗する必要があると判断した。

長時間にわたる準備セッションで、側近らはバイデン氏に詳細なファクトに関する質問を浴びせかけ、続いて模擬討論も行った。

この準備を批判する向きからは今、バイデン氏はもっと大きなビジョンに焦点を当てるべきだったし、討論会前に十分な休息を取っていなかったとの声が出ている。

側近によれば、バイデン氏は軽い風邪も引いていた。時差のある場所で長期間仕事をした後には、よくあることだったという。

批判派に言わせれば、その結果としてバイデン氏は最悪の状態で討論会に臨むことになった。

討論会参加の是非

今年初め、バイデン氏の側近の間では、トランプ氏との討論自体を避けるべきだとの意見があった。バイデン氏を不利な立場に追い込む舞台をトランプ氏に与えるだけだから、という理屈だった。

しかしバイデン氏自身が4月のインタビューで、討論会に出ると表明。これは一部の側近にとって驚きだった。

討論会翌日の28日、バイデン氏は前進を誓ったが、ダメージは大きい。

民主党のジェイミー・ラスキン下院議員は6月30日、バイデン氏に代わる大統領候補者について議論しているかというMSNBCの質問に「わが党のあらゆるレベルで、真摯(しんし)で真剣、激しい議論が行われている。政党なので、意見の相違はある」と答え、「候補者が彼(バイデン氏)でれ、別のだれかであれ、党大会の基調講演は彼が行うことになる」と付け加えた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ハセット氏のFRB議長候補指名、トランプ氏周辺から

ビジネス

FRBミラン理事「物価は再び安定」、現行インフレは

ワールド

ゼレンスキー氏と米特使の会談、2日目終了 和平交渉

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 6
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 7
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 8
    世界の武器ビジネスが過去最高に、日本は増・中国減─…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中