最新記事

ウクライナ情勢

ロシア軍にもウクライナ軍にも加わる、ネパール「グルカ兵」...「イデオロギーとは無関係」な3つの理由とは?

2023年7月3日(月)12時45分
ビラット・アヌパム(ディプロマット誌)

ネパールとフランスの間に正式な協定はないが、少なくとも数千人の若者がフランス軍の外人部隊に加わっているとみられる。アメリカでも、ネパールは市民権取得の近道として米軍入隊を希望する移民が多い国の1つだ。

つまり、ネパールの若者たちはウクライナでの戦争に特別な何かを感じて参加したわけではない。彼らは以前から外国軍への入隊に意欲を示してきた。主な理由は3つある。

第1に、ネパールには長い戦いの歴史があり、武勇に対する誇りが国民精神の一部となっていること。現代のネパールは、300以上の小王国の軍事征服を通じて形成された。国内での戦闘に加え、1791年にはチベットと清の連合軍と戦ったこともある。

第2に、ネパールの若者は1815年以降、グルカ兵としてイギリスのほぼ全ての戦争に参戦している。独立後のインドでも同様だ。こうした伝統から、現代の若者も兵士として外国で戦うという選択肢を思い付きやすい。

そしてネパールの若者には、国内に十分な就業機会がない。失業や低賃金、そしてネパール軍に人員の空きがないことも、若者たちを外国軍に入隊させる要因の1つだ。

彼らは尊敬と高い報酬が得られるなら、イデオロギーとは無関係にどの国の軍隊にも加わる意思があるようだ。ウクライナ軍とロシア軍の両方でネパールの若者が戦っているのはそのためだ。

From thediplomat.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正(8日配信記事)-エアビー、第1四半期は増収増

ビジネス

将来の利下げ回数、賃金など次第 FRBに左右されず

ビジネス

米新規失業保険申請23.1万件、予想以上に増加 約

ワールド

イスラエル、戦争の目的達成に必要なことは何でも実施
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 2

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 3

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽しく疲れをとる方法

  • 4

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 5

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    「高齢者は粗食にしたほうがよい」は大間違い、肉を…

  • 10

    総選挙大勝、それでも韓国進歩派に走る深い断層線

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 9

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中