最新記事

分離独立

テキサス共和党、アメリカからの独立を問う住民投票を要求

Texas Could Vote to Secede From U.S. in 2023 as GOP Pushes for Referendum

2022年6月21日(火)18時25分
カレダ・ラーマン

トランプ前大統領と大統領候補の座を争ったテッド・クルーズ上院議員もテキサス分離独立派 Pavel-ISTOCK.

<同性愛を「異常なライフスタイル」と呼び、アメリカ合衆国からの分離独立を渇望する右派の運動にまた火が付いた>

テキサス州の共和党員たちは、「テキサス州がアメリカ合衆国から脱退すべきか否かを決める住民投票」の実施を要求している。

テキサス州の共和党員たちは、6月16日〜18日にかけてヒューストンで党大会を開催し、綱領について話し合った。そのなかの一項目が、「2023年の選挙において、テキサス州民が合衆国からの脱退問題に投票することを認めよ」という要求だ。

この党綱領は、こう述べる。「合衆国憲法によって保障されたテキサス州の権利を侵害する、連邦政府から強制された法令は、無視され、反対され、拒絶され、無効化されるべきである」「テキサス州は、合衆国から脱退する権利を有しており、この権利に従った住民投票法案を通すため、テキサス州議会が招集されるべきだ」

南北戦争を蒸し返す渇望

テキサス・トリビューン紙によると、テキサス州がアメリカ合衆国から脱退可能だとする根拠のない通説が現在に至るまで流布している背景には、同州独立の歴史がある。テキサス州は、1836年にメキシコからの独立を宣言。その後9年間を独立国の「テキサス共和国」として過ごしたのち、アメリカ合衆国に併合された。テキサス州はその後、1861年に合衆国から脱退したが、その後南北戦争を経て、1870年に再び編入されている。

合衆国憲法は、国内の州の脱退に関する規定を一切設けていない。また南北戦争後の1869年に連邦最高裁判所が示した「テキサス対ホワイト」判決では、アメリカの州は一方的に合衆国から脱退することはできないとされている。

2016年にこの世を去った連邦最高裁判事のアントニン・スカリアは、「南北戦争で解消された憲法上の問題があるとしたら、それは、各州には合衆国脱退の権利がないという点だ」と記していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、和平に向けた譲歩否定 「ボールは欧州と

ビジネス

FRB、追加利下げ「緊急性なし」 これまでの緩和で

ワールド

ガザ飢きんは解消も、支援停止なら来春に再び危機=国

ワールド

ロシア中銀が0.5%利下げ、政策金利16% プーチ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 10
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中