最新記事

ロシア

【独占】「プーチンは4月に進行がん治療」「3月に暗殺未遂」米機密情報のリーク内容

Exclusive: Putin Treated for Cancer in April, U.S. Intelligence Report Says

2022年6月4日(土)18時38分
ウィリアム・アーキン(ジャーナリスト、元陸軍情報分析官)

パキスタンのパルベズ・ムシャラフ大統領(当時)は、ビンラディンは死にかけていると断言した。同国の情報機関も、同じ判断を伝えていた。

一方でサウジアラビア政府は、ビンラディンの過去に関するゴシップをせっせと提供していた。その中身は、彼の能力や信仰心を疑わせるようなものばかりだった。

若い頃のビンラディンはベイルートやリビエラで淫行し、パーティー三昧だったという噂。大学は中退し、卒業していないという説。ソ連との紛争当時にアフガニスタンにはおらず、いたとしても戦っていないという話......。

アメリカのメディアは、こうした情報を忠実に報じた。アメリカ政府も同様だった。アメリカがビンラディンの動向を気に掛けないように、パキスタン側が意図的に重病説を流しているとは気付かなかった。サウジ側にも、ビンラディンの経歴や信仰心に泥を塗れば、このテロリストに心酔する若者が減るだろうという思惑があった。

しかし、どれも希望的観測だった。だからアメリカは、ビンラディンが忠実な部下たちの精神を支配し、西洋文明に対する自分の憎悪をアルカイダ戦士に植え付けていることに気付けなかった。

「(当時)ムシャラフの発言にはCIAの情報よりも重みがあった」と、元空軍幹部は本誌に語った。「サウジアラビアがアメリカ側に伝える情報も非常に重視された。それで多くの人は、ビンラディンが病気だと信じ、実際にあのようなカリスマ的指導者だったことに気付かなかった」

「プーチンは病気か? もちろんだ」とも元空軍幹部は言った。「しかし、だからと言って早まった行動を起こしてはいけない。プーチン後の権力の空白は、この世界にとって非常に危険だ」

当時、フセインは世界で最も危険な男の1人に数えられていた。狂人で、絶対に大量破壊兵器を手放さない男、毎晩違うベッドで寝なければならないほど用心深い男とされていた。だから、イラクに大量破壊兵器はないという証拠があっても、当時の米ブッシュ政権は平気で無視した。

病状の深刻度を覆す新たな報告

そして5月末、バイデン大統領の下に情報機関からの最新の報告が届いた。その内容は、プーチンの病状は深刻だとする2週間前の報告を覆すものだった。実際、5月25日にはプーチンがモスクワの軍病院を視察する映像が流れた。翌26日にはイタリアのマリオ・ドラギ首相と電話会談し、国内の実業界の会議にもビデオで姿を見せた。

30日にはトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領と電話で会談し、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と対面で協議する可能性にも言及した。つまり、当座の健康には自信ありということだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回を改めて要求

ビジネス

独総合PMI、12月速報51.5 2カ月連続の低下

ビジネス

ECB、銀行に影響する予算措置巡りイタリアを批判

ビジネス

英失業率、8─10月は5.1%へ上昇 賃金の伸び鈍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中