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ウクライナ戦争

マリウポリ制圧でロシアが「大勝利」と言ったとき、何が起こるのか

A Propaganda Win for Russia

2022年4月25日(月)18時20分
エイミー・マッキノン(フォーリン・ポリシー誌記者)
アゾフ大隊

ロシア軍が迫る中、ビデオ声明を出したアゾフ大隊の副司令官(4月24日) Azov/Handout via REUTERS

<ロシアにとって、陸の回廊となる「極右志願兵の守る都市」の攻略は大きな意味を持つ。巨大製鉄所の地下に兵士と多くの市民を閉じ込めたまま「戦争犯罪」の証拠が消されていく>

ロシア軍が攻めてくるまで、ウクライナ南東部のマリウポリはアゾフ海に面する豊かな港湾都市(人口50万弱)だった。しかし3月に入るとロシア軍に包囲された。

以来、この町は今回の戦争でおそらく最大の激戦地となってきた。ロシア軍が地域全体を封鎖しており、マリウポリは外界からほぼ完全に遮断されている。

猛烈な砲爆撃が何週間も続き、産科病棟や何百人もの一般市民が避難していた劇場が破壊された。今も抵抗を続ける一握りのウクライナ兵たちは広大なアゾフスターリ製鉄所(敷地面積約10平方キロ)に立て籠もっている。

またウクライナ政府によると、市内にはまだ推定10万人ほどの市民が取り残されており、国連WFP(世界食糧計画)事務局長のデービッド・ビーズリーは、このままだとみんな「餓死」してしまうと訴えている。

在米ウクライナ大使館が4月19日に発表したところでは、アゾフスターリ製鉄所の地下には今なお女性や子供を含む民間人1000人以上が残っている。

「この世の地獄とはこのことです」。今も最前線で戦うウクライナ軍第36海兵旅団のセルヒ・ボリナ司令官は、ローマ教皇に宛てた4月18日付の公開書簡でそう述べた(英文で、ウクライナ・プラウダ紙に掲載された)。

「日々ここで私が目にしている恐ろしいことの全てを記す時間はありません。あの製鉄所の地下室には、小さな子や赤ちゃんを連れた女性たちが避難しています。もう食べ物がなく、寒さに震えています」

投降しない兵士は「皆殺し」だとロシア政府は警告しているが、いくら最後通告を突き付けても、ウクライナの兵士たちは応じず、徹底抗戦する構えだ。

実際、マリウポリは誰もが予想しなかったほど長く持ちこたえてきた。

しかし、いざ本当に陥落すれば、ロシア側がそれを今回の戦争で初の「大勝利」と言い募るのは間違いない。そのことが、この戦争の今後にどう影響するだろうか。

ロシア軍による戦争犯罪の証拠を保存する努力が、その加害者によって妨げられることはないだろうか。

ロシア軍は侵攻開始から5週間で、当初の目標を修正することを余儀なくされた。ウクライナの首都キーウ(キエフ)を電撃作戦で制圧するというもくろみは、ずさんな計画とウクライナ側の激しい抵抗によって頓挫した。

これまでに掌握できた大都市は南部のヘルソン(戦前の人口は30万弱)だけだ。

戦果を披露する必要性

キーウ周辺から撤退したロシア軍は戦力を東部に集中させ、ドンバス地方で新たな攻撃作戦を開始した。既にルハンスク(ルガンスク)州の広い地域とアゾフ海沿岸域の多くを制圧している。

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