最新記事

中豪関係

中国、オーストラリア国籍ジャーナリストを逮捕 国家機密の違法提供容疑で

2021年2月9日(火)12時16分

オーストラリアのペイン外相(写真)は、国家機密を海外に違法に提供した疑いで中国で6カ月にわたり拘束されていた豪国籍のジャーナリスト、成蕾(チェン・レイ)氏が5日に正式に逮捕されたと発表した。写真は昨年7月ワシントンでの代表撮影(2021年/ロイター)

オーストラリアのペイン外相は8日、国家機密を海外に違法に提供した疑いで中国で6カ月にわたり拘束されていた豪国籍のジャーナリスト、成蕾(チェン・レイ)氏が5日に正式に逮捕されたと発表した。

中国国営メディアの英語放送局CGTNの有名なアンカーだったチェン氏は、昨年8月半ばに中国当局に身柄を拘束された後も、仕事の会議や北京のオーストラリア人コミュニティー向けの大使館行事に定期的に参加していた。

ペイン外相は、豪政府はチェン氏の拘束について、健康状態を含め、「高官レベルで重大な懸念を示してきた」と説明。

外相によると、豪当局者はチェン氏が拘束されている間に同氏を6回訪問し、直近では1月末に面会していた。

チェン氏の9歳と11歳のこどもはオーストラリアで家族と暮らしている。

豪政府が新型コロナウイルスの発生源に関する国際調査を呼び掛けて以来、中国は貿易措置で報復するなど、両国の関係はここ1年で悪化している。

モリソン首相は8日、チェン氏の逮捕が公表される前、地元のラジオ局に対し、豪中の関係改善に向けた両国の閣僚級協議についてまだ合意はないと語っていた。

オーストラリアの元駐中国大使は、チェン氏の事案は二国間関係を超えた問題に発展すると予想。両政府間のハイレベルの接触がなければ、チェン氏への支援はかなり難しいと指摘した。

中国外務省の汪文斌報道官は8日の会見で、チェン氏の逮捕を中国当局が承認したと明らかにした上で、同氏の正当な権利は保障されていると述べた。「この件を巡りオーストラリアが介入しないことを望む」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減

ビジネス

米KKRの1─3月期、20%増益 手数料収入が堅調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中