最新記事

米人種問題

ミネアポリスの抗議デモが暴動に......略奪から店舗を守ろうと武装市民が警護

Armed Minneapolis Citizens Guard Tobacco Store, Say 'We Don't Support Looting'

2020年5月29日(金)13時45分
マシュー・インペリ

抗議デモは当初は平和的に始まったが…… Carlos Barria-REUTERS

<警官の暴行を受けた黒人男性が死亡したことに抗議するデモは、放火や略奪をともなう大規模な暴動にエスカレート>

ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性が警官の暴行を受けて死亡したと抗議する人々のデモが過激化している。略奪を恐れる店舗を銃で武装した市民が警護にあたる事態になっている。

「これは一線を越えた。正義は求めるが、同時に略奪はやめなければならない」と、地元の市民グループ「ミネソタ・リフォーマー」がツイッターに投稿した動画の中で、武装した男性の1人は語った。

別の男性も同様に「略奪にはまったく賛同できない。しかし抗議デモの趣旨には賛同する」と話している。

ミネアポリスの黒人男性ジョージ・フロイドは、25日にニセ札偽造の疑いで警察に逮捕されたが、その際に白人警官が道路に横たわるフロイドの喉を膝で押さえ続けた。フロイドは搬送先の病院で死亡した。

逮捕現場に居合わせた市民が、「息ができない」と訴えるフロイドの姿を動画で撮影し、ソーシャルメディアで拡散したことから、全米に抗議デモが広がった。デモは当初は穏やかだったが、次第に放火や略奪へとエスカレートした。

警官に押さえつけらえるフロイド(1:04〜)


事件を受けて、フロイドの逮捕に関わった警官4人がミネアポリス警察から解雇された。しかし事件について「人種差別」だと抗議する人々は、さらに踏み込んだ対応を求めている。

ミネアポリスの抗議デモは、建物への放火や警官との衝突を繰り返し、市内全域で破壊活動が行われている。警官隊はゴム弾、閃光弾、催涙ガスなどで鎮圧にあたっているが、デモ参加者は石や花火を投げて抵抗している。

地元紙「スター・トリビューン」によると、市内の質店店主が略奪を受けると恐れて発砲し、1人が死亡している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金融デジタル化、新たなリスクの源に バーゼル委員会

ワールド

中ロ首脳会談、対米で結束 包括的戦略パートナー深化

ワールド

漁師に支援物資供給、フィリピン民間船団 南シナ海の

ビジネス

米、両面型太陽光パネル輸入関税免除を終了 国内産業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 8

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 9

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中