最新記事

日韓関係

旭日旗は「腫れ物」扱い? 自衛艦の旭日旗掲揚を韓国が自粛要請 

2018年10月3日(水)16時00分
内村コースケ(フォトジャーナリスト)

ハーケンクロイツと同列?韓国系スターも標的に

一方、旭日旗は、明治維新の頃から使われ始めた日本という国そのものを象徴する旗で、ナチスのような特定の政治勢力を示すものではない。そのため、アメリカ・イギリスなどの戦勝国を含め、特に使用を禁じている国はない。ドイツにも同様に戦前からある「鉄十字」があり、戦中のナチス時代も戦後も引き続き、ドイツ軍の紋章や勲章として用いられている。

しかし、韓国だけは例外的に旭日旗を鉤十字と同列に捉えているようだ。怒りの矛先は、日本人以外にも向く。最近の事例を英テレグラフ紙がまとめている。まず、英ロックバンド、クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』の予告編で、クイーンのドラマー、ロジャー・テイラー役が旭日旗をあしらった服を着ていたとして韓国ネット民から非難を受け、数時間後に無地の赤い服に変更された。

また、プエルトリコ人シンガーのオズナは、東京で撮影した楽曲のプロモーション動画に旭日旗のバンダナをした着ぐるみを登場させたことで、件のソ教授からSNSを通じて抗議を受けた。ちなみに、この動画はYouTubeで240万回以上再生され、16万6000以上の「いいね!」を獲得しており、現在までに問題のシーンは修正されていないようだ。

韓国系のスターもやり玉に挙げられた。大ヒット米TVドラマ『ウォーキング・デッド』で人気キャラクターを演じた韓国系アメリカ人俳優、スティーブン・ユァンは、映画監督ジョー・リンチがインスタグラムに投稿した旭日旗がデザインされた服を着た写真に「いいね」したことで炎上。ユァンはすぐに自分のインスタグラムで韓国語と英語で謝罪したが、韓国語では「配慮が足りなかった」と書いた一方で、英語では一つの「いいね」でこれほど非難を浴びるのは「悲しい」と書き、さらに韓国ネット民の怒りに火をつけた。

このように、韓国からの抗議で世界で腫れ物扱いとなりつつある旭日旗。それでも、日本人として筋を通し続けるべきだという人も多いだろう。一方、主張の正否は別として、面倒はごめんだと韓国世論に忖度するのも一つの考え方だし、理不尽な非難には徹底無視を決め込むべきだという声もあるだろう。日本国内の世論も分かれそうな、やっかいな問題だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米大統領選、バイデン氏とトランプ氏の支持拮抗 第3

ビジネス

大手3銀の今期純利益3.3兆円、最高益更新へ 資金

ワールド

ニューカレドニアの暴動で3人死亡、仏議会の選挙制度

ワールド

今年のユーロ圏成長率、欧州委は2月の予想維持 物価
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 4

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 8

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中