「ISIS憎し」のイラク政府が即決裁判で大量死刑宣告
アメリカがイラク占領中に痛感したことだが、多くのテロ容疑者を一度に同じ場所に収容すると、予期せぬ結果を生む可能性がある。現在のISIS指導陣には、かつて南部のブッカ収容所で同時期を過ごした者が多い。収容施設が、過激派のネットワークとイデオロギーを広める場になっていたわけだ。
現在、北部モスル周辺の収容施設でも、収容者が過激派の教義を広め、電波妨害をかいくぐって外部と連絡を取り合う様子が確認されている。
拘束や死刑宣告されるのは、圧倒的にスンニ派ムスリムが多い。フセイン政権崩壊後のイラクで虐げられたスンニ派は、当初ISISを解放者として歓迎した。今、多くのスンニ派が拘束され、ISISとのわずかながらの関係によって処刑されている様子を見ると、政府は同じ過ちを繰り返しているようだ。
あるイラク政府高官は、過去の失敗は繰り返さないと自信を見せた。「アメリカは拘束者を解放したから失敗した。われわれは、彼らを皆、死刑にする」
[2018年4月10日号掲載]
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