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脳科学

ワインを楽しむと脳トレに? 味と香りの分析が脳を活性化

2017年8月18日(金)11時30分
モーゲンスタン陽子

また博士は、ほとんどの人は鼻で嗅ぐワインの香りを楽しむが、レトロナーザル(鼻後)と呼ばれる口内の香りには気づいていないと指摘。(ワインの)微分子は同じ受容器細胞に運ばれるが、逆方向からになる。フレーバー決定に関してはこれがとても重要だとする。

結局、これらの様々な要素が重なって、人それぞれの味ができあがるということのようだ。

長らく見過ごされてきた感覚

ロスアンジェルス・レビュー・オブ・ブックスでは、ハーバード大学の歴史家でワイン愛好家を自認するスティーヴン・シェイピン教授が、言語と関わりのある視覚・聴覚に比べ、嗅覚や味覚は「動物的」で、触覚と同様、長いこと劣る感覚とされ、哲学者のみならずワインライターなどからも軽んじられてきたと指摘。本書の着眼点を評価している。

しかし、いくら脳のエクササイズになるといっても、過度の摂取によって健康を概しては元も子もない。NPRのインタビューで「ワインの飲み手の飲み方に間違いがあるか」という質問に、シェパード博士も「一口二口ちびちびと飲んだあとは、ただ流し込んでしまう。もっと必要なことはあるのに」と答えている。

脳に刺激を与えるワインテイスティングも、くれぐれもほどほどに。

【参考記事】どんなワインからも酸化防止剤を除去できる魔法のデバイス
【参考記事】開発に10年かけた、シャンパン級のスパークリング日本酒

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