最新記事

北朝鮮

ティラーソン米国務長官の「北朝鮮との対話模索」と米朝秘密会談

2017年8月4日(金)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

2016年6月には北京で北東アジア協力対話に関する米朝の非公開会議があり、北朝鮮の代表として出席した北朝鮮外務省の北米副局長だった崔善姫(チェ・ソンヒ)氏(2017年から局長)は「ピョンヤンは現有の核資産を放棄することはないが、しかし今後継続して核装備を拡充していくことに関しては話し合いの余地がある」と述べている。

北朝鮮の言うことを、そのまま信用する訳にはいかないが、この情報は重要だ。

つまり、話し合いを先延ばしにすればするほど、北朝鮮に核・ミサイル技術を向上させる時間的ゆとりを与えるということになる。話し合ったところで変わらない可能性はもちろんあるが、話し合わなければ、北朝鮮の技術向上を放置することになることだけは確かだ。

8月5日からのASEAN外相会議で「北朝鮮の核・ミサイル開発に重大な懸念」

米国務省のソートン次官補代行は8月2日、8月5日からフィリピンで開催されるASEAN(東南アジア諸国連合)外相会議で、「北朝鮮への非難の合唱」を期待すると述べた。

事実、8月2日のマニラ新聞の報道により、ASEAN外相会議の共同声明で、「北朝鮮の核・ミサイル開発に重大な懸念を表明する」ことが分かった。マニラ新聞はその声明草案を入手したとのこと。

ASEAN 地域フォーラム(ASEAN Regional Forum、略称ARF)には、ASEAN諸国(10カ国)以外に日米中露韓や北朝鮮など、16カ国と一地域が参加し、同時進行でASEAN拡大外相会議が開催される。

日本では新しく就任した外務大臣が参加するだろうが、ティラーソン国務長官も参加し、また北朝鮮の李容浩外相の出席も予定されている。

ティラーソン国務長官は今回、米朝外相会談は行わないとしているが、しかし水面下では今もなお、米朝の接触は進んでいる。テーマは常に朝鮮戦争の「平和条約」締結の時期と条件。アメリカが休戦協定を破っていることが根底にある。

日本の目前に迫っている危険――責任は日本にはない

「北朝鮮はならず者国家なので、いつ如何なることをしてくるかしれないが、それでも向こうから戦争を仕掛けてくれば自滅を招くので、それはしないだろう」という楽観論もあるかもしれない。しかし現時点で既に日本人、あるいは日本上空を飛行する旅客機が被害を受けるであろう危険性は目前に迫っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

3メガバンクなど、ステーブルコイン共同発行・検証へ

ワールド

中国レアアース輸出、10月は前月比9%増 4カ月ぶ

ワールド

スイス石油商社ガンバ―、露ルクオイルの資産買収提案

ワールド

トランプ氏、中央アジア首脳と会談 重要鉱物確保へ連
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中