最新記事

北朝鮮

ティラーソン米国務長官の「北朝鮮との対話模索」と米朝秘密会談

2017年8月4日(金)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

もともとアメリカ自身は、「アメリカがかつての朝鮮戦争の休戦協定に違反しており、いずれは休戦協定から平和条約へと移行しなければならない」ということは、かなり早くから自覚しているようだ。そのための水面下での秘密会談は、金正恩政権になってからも、これまでに何度も行なわれている。

米朝秘密会談「トラック2外交」を暴いたワシントンポスト

近くでは2016年8月28日、ワシントンポストは「Inside the secret U.S.-North Korea 'Track 2' diplomacy(米朝秘密トラック2外交)」という見出しで、水面下におけるアメリカと北朝鮮の秘密会談を暴いている。

「トラック1外交(Track 1 Diplomacy)」とは、政治家やプロの外交官同士による国家間のフォーマルな外交を指し、「トラック2外交(Track 2 Diplomacy)」は、たとえば引退した政治家や退役した軍人あるいは学者などが私的に行う接触のことを指す。一般にトラック2は秘密裏に行われることが多い。この場合は「inside」であり「secret」だ。

ワシントンポストの情報によれば、2011年に金正恩政権が誕生して以来、平壌(ピョンヤン)(=北朝鮮)は一連の「トラック2外交」を通してワシントンと連携を保ち続けているとのこと。「トラック2外交」であるにもかかわらず、北朝鮮は常にハイレベルの外交官をこういった会議に派遣してきた。アメリカ側の参加者はすべて元政府高官か朝鮮半島問題や核問題の専門家たち。その意味では北朝鮮の方が力を入れているということができる。

会談場所は主としてベルリンかシンガポールで、北京ということもあった。

米韓研究所の核問題研究家であるJoel Wit(ジョエル・ウィット)氏は「北朝鮮は主に停戦協定を平和条約に持っていくことに強い関心を持っている。彼らは核兵器計画を、平和条約を交渉する中で検討することを願っている」と言う。

2016年2月にベルリンで開催された「トラック2外交」に参加し、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)氏(同年5月から外相)と話し合ったウィット氏は、「ピョンヤンは対話を受け入れるシグナルを出している」と述べている。

アメリカの前政府高官で対北朝鮮談判の代表であったRobert Kalin(ロバート・カリン)氏も、このベルリンにおける会談に参加し、同年7月に評論を書き、そこには「朝鮮半島非核化は、アメリカとの交渉の重要要素だと、北朝鮮は表明している」と書いているとのこと。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾総統「26年は重要な年」、主権断固守り防衛力強

ワールド

再送トランプ氏、シカゴやLAなどから州兵撤退表明 

ビジネス

ビットコイン、2022年以来の年間下落 最高値更新

ワールド

ゼレンスキー氏「ぜい弱な和平合意に署名せず」、新年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中