最新記事

インプラント

米国企業で初、従業員の体内へのマイクロチップの埋め込みを実施

2017年8月1日(火)17時50分
松岡由希子

Nigel Treblin-REUTERS

<米ウィスコンシン州の自動販売機メーカーが、米国企業として初めて、従業員に体内へのマイクロチップの埋め込みを実施する>

マイクロチップを手に埋め込んだ従業員が、手をかざすだけで、オフィスの出入り口を解錠したり、パソコンにログインしたり、社内の自動販売機でジュースを購入したりする。まるでSF映画のようなオフィスシーンが、いよいよ現実のものとなりつつあるようだ。

50名以上の従業員がマイクロチップの埋め込みに同意

米ウィスコンシン州の自動販売機メーカー「スリー・スクウェア・マーケット」は、スウェーデンの生体認証センサー専門企業「バイオハックス・インターナショナル」との提携のもと、米国企業として初めて、従業員を対象に、体内へのマイクロチップの埋め込みを2017年8月1日から実施する。

これは従業員の任意で実施されるもので、最高経営責任者(CEO)を務めるトッド・ウェストビー氏のほか、50名以上の従業員がマイクロチップの埋め込みに同意した。

170725-chip.jpg

Three Square Market (32M) が、従業員の皮下に埋め込むRFIDチップ

注射器を使い、個人情報が保存された米粒くらいのRFIDチップを右手の親指と人差し指の間の皮下に埋め込むと、オフィスのドアやパソコン、コピー機、自動販売機などに手をかざすだけで、非接触型ICカードのように、近距離無線通信で対象物の情報を読み取る仕組みとなっている。


「スリー・スクウェア・マーケット」では、従業員の身体へのマイクロチップの埋め込みにあたり、従業員への利便性の提供をその目的として強調する一方、情報セキュリティや、従業員のプライバシー、健康影響などに十分配慮している旨を説明している

このマイクロチップは2004年にアメリカ食品医薬品局(FDA)が認可したもので、身体に埋め込まれた後も注射器で簡単に取り出すことができるほか、GPS機能は非搭載で、他者に追跡されることはないという。また、チップ内のデータは暗号化されているそうだ。

簡単にハッキングされる可能性がある

しかし、企業が従業員の身体にマイクロチップを埋め込むことについては、懸念を示す声が少なくない。米カーネギーメロン大学のアレッサンドロ・アクイスティ教授は、ニューヨーク・タイムズ紙の記事において、「企業側は『チップは暗号化されており、安全だ』と主張するが、"暗号化"の定義は非常に曖昧で、本当に安全なものもあれば、簡単にハッキングできるものも含まれている可能性がある」と指摘している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノボノルディスク、不可欠でない職種で採用凍結 競争

ワールド

ウクライナ南部ガス施設に攻撃、冬に向けロシアがエネ

ワールド

習主席、チベット訪問 就任後2度目 記念行事出席へ

ワールド

パレスチナ国家承認、米国民の過半数が支持=ロイター
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    習近平「失脚説」は本当なのか?──「2つのテスト」で…
  • 10
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 4
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中