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中国外交

対北制裁決議&ASEAN外相会議に見る中国の戦略

2017年8月8日(火)16時35分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

この「対話再開」は中国が主導してきた六カ国会議を指す。

基本的趨勢としては、制裁強化という圧力をかけながら対話に持っていくことに変わりはないだろう。

そのときに、こうして「中国主導型」でいくのか、あるいはアメリカか日本による主導型で行くのかによって、世界のパワーバランスは一変する。

アメリカが存在感を失っている今、ここは実はパワーバランスの分岐点なのだ。

だから筆者は対話に向けた主導権を日米が握れと言ってきた。

この主導権まで中国が掌握すれば、中国はチャイナ・マネーによってだけでなく、国際社会への政治外交的影響力まで持つようになってしまう。

盲点:抜け穴は中国ではなくASEANなど(国連安保理専門家パネル報告書)

制裁強化をしても、必ずそこには「抜け穴」があり、「それは中国だ」というのが「通俗的な概念」となっている。それさえ言っていれば、他国のせいにして自分を守ることができる。それが如何に北朝鮮問題の解決から遠のくことを招いているかを考えようとしない日本人があまりに多すぎる。

これまで何度も言ってきたように、中朝貿易のデータはWTOなどの統計によるもので、正式に表に出ている数値に過ぎず、比較にならない金額が北朝鮮と国交を樹立している中国以外の他の国の闇市場で動いている。今般、国連安保理の専門家パネルが報告書を出し、それにより制裁を逃れて北朝鮮と闇取引している国にマレーシアやベトナム、あるいは中東、アフリカ地域などがあることが明らかにしてくれた。ようやくここまでたどり着いてくれたかと、感謝の気持ちを抱くほどだ。ここに目を付けない限り、北朝鮮を追い込むことは出来ない。

160ヶ国以上と国交を結ぶ中国以外の国は、いわゆる「フロント企業」としてデータには出ない闇取引をしており、この部分を摘発しないと、北朝鮮を真に追い込むことは出来ないのである。

今般報告書が明らかにしたのは、今年2月から禁止されている北朝鮮からの石炭輸入に関してマレーシアやベトナムなどが300億円(日本円)を得ていたことや、中東やアフリカ地域、特にシリアで、地対空ミサイルの取引に関与している疑いなどである。ISとの関連だ。

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