最新記事

日米安保

米国防長官は中国非難するも軍事行動は排除 日本に防衛負担増を示唆

2017年2月6日(月)07時05分

2月4日、米トランプ新政権の閣僚として初来日したマティス国防長官は稲田朋美防衛相と会談し、南、東シナ海における中国の活動に関して懸念を共有した(2017年 ロイター/Toru Hanai)

米トランプ新政権の閣僚として初来日したマティス国防長官は稲田朋美防衛相と4日に会談し、南、東シナ海における中国の活動に関して懸念を共有した。しかし、マティス氏はその後の会見で軍事行動の必要性は排除。外交的な手段で解決する方針を強調した。

また、日本の現在の防衛負担を評価する一方で、さらなる努力の必要性を示唆した。

マティス長官は会見で、「我々は南シナ海で見てきた。中国がこの地域において信頼を踏みにじった」と中国を非難した。会談に同席した日本の政府関係者によると、マティス氏と稲田氏は地域情勢の意見交換に多くの時間を割いた。南シナ海で人工島を造成し、東シナ海で動きを活発化させる中国が主要議題の1つだったという。

会見でマティス長官は、中国も領有権を主張する尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象と改めて表明。米国による防衛の義務があることを確認した。

その一方でマティス氏は、中国に対する軍事行動の必要性は排除した。「外交的な努力に訴える。軍事的な作戦は現時点で必要ない、それに類似したものも必要ない」と語った。

「防衛の人材と能力に投資を」

選挙期間中から同盟国の負担増を訴えたトランプ政権の誕生で、日本側には在日米軍の駐留経費や防衛費の増額を求められるとの見方が広がっている。しかし稲田防衛相によると、会談では駐留経費に関する議論は出なかった。

会見で日本側の駐留費負担について聞かれたマティス氏は、「日本の分担は他の国のモデルになる」と評価。さらに、ここ数年は防衛費を増加させていることに触れ、「正しい道を日本は歩んでいる」と語った。

同時にマティス氏は、「今の状態に慢心してはいけないことは、(自身も稲田氏も)意識し合っている」と指摘。「同盟の成長にあわせ、防衛の人材と能力に投資を続けることが重要だ」と語り、日本に一層の努力を求めた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-グレンコア、英アングロへの買収

ワールド

中国軍機14機が中間線越え、中国軍は「実践上陸訓練

ビジネス

EXCLUSIVE-スイスUBS、資産運用業務見直

ワールド

ロシア産肥料を米企業が積極購入、戦費調達に貢献と米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中