最新記事

金融

早くも市場で冷めつつあるトランプ熱 投資家は政策実行性を疑問視

2017年1月21日(土)12時12分

 1月19日、1カ月前、米国株とドルは、財政支出拡大や規制緩和などトランプ次期米大統領(写真)の掲げる政策への期待感から大幅に上昇していた。しかし新政権がこうした政策を実際にどの程度実行に移せるのか疑問が強まっている。ワシントンで撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

 1カ月前、米国株とドルは、財政支出拡大や規制緩和などトランプ次期米大統領の掲げる政策への期待感から大幅に上昇していた。しかし新政権がこうした政策を実際にどの程度実行に移せるのか疑問が強まっている上に、トランプ氏の発言は一貫性を欠いており、投資家はトランプ氏が大統領就任後に本当に改革者になり得るのか危ぶみ始めている。

 米株式市場は、昨年11月のトランプ氏の大統領選勝利から数週間、浮かれた状態となった。S&P総合500種は何度も史上最高値を更新し、約6%上がった。政府借り入れが増えてインフレが高まるとの警戒感から長期金利は2年超ぶりの水準に上昇。ドルは他の主要通貨に対して14年ぶりの高値をつけ、安全資産とされる金は10年ぶりの安値に沈んだ。

 しかし投資家は足元では現実に立ち返りつつあり、金融市場にもこうした投資家の姿勢の変化が表れている。

 BMOプライベート・バンクのジャック・アブリン最高投資責任者(CIO)は、大統領就任式が近づいて政策の実行性が問われていると指摘。S&Pは20%程度割高だとみる。

 米国株とドルは既に買われるだけ買われた状態で、投資家の中には強気のポジションを圧縮する動きもみられる。一方で債券や金には資金が回帰している。

 ウエスタン・アセット・マネジメントのポートフォリオ・マネジャーのアミット・ショプラ氏は「トランプ氏の政策が短期および長期で成長やインフレに与える影響を分析することで政策による基礎的諸条件の変動を予測し、ポートフォリオを調整した」と述べた。

 強気相場は終焉を迎えたとだれもが考えているわけではない。QMAのポートフォリオマネジャー、エド・キャンベル氏は「(経済成長と物価上昇に期待する)リフレ取引は大転換を迎えたわけではなく、小休止にすぎない」と述べた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中