最新記事

女性蔑視

自治体のPR動画「ウナギ少女」がまるで変態ホラーだと騒ぎに

2016年9月27日(火)18時40分
カビタ・スラナ

YOUTUBE

 鹿児島県志布志市は、特産の養殖ウナギの宣伝用として、美しく情感たっぷりのネット動画を作った。志布志のウナギは、日本一豊かな自然環境のなかで贅沢かつ大切に育てられることをアピールしようとした。

 だがネットユーザーの目にはそうは映らなかった。ウナギを美しい少女に見立てた2分間の映像が公開された途端、女性蔑視だという批判が沸き起こり、まるでホラー映画だと扱き下ろされた。

 動画は、黒いスクール水着を着た高校生ぐらいの少女がプールで泳ぐ場面から始まる。やがて少女はカメラに向かって「養って」と訴える。

 ピアノの柔らかな音色とともに男性のナレーションが入る。「僕は決めた。彼女のために、できる限りのことをしてやると」「おいしいものをお腹いっぱい食べさせ、ぐっすりと眠れるようにした」

 動画はツイートを通して拡散された。

誘拐や共食いを連想させるとして、日本の志布志市の公式動画「ウナギ少女」がネットユーザーの注目を集め、批判の的になっている。


 市としては、「ウナギを大切に育てている」というメッセージを訴えるつもりだった。だがソーシャルメディアでは、女性差別であり少女の監禁や誘拐、共食いを連想させるという批判がよせられた。

 最後の場面で少女は「さよなら」と言い残してプールに飛び込み、ウナギになる。その直後、ジュージューと焼かれるウナギの蒲焼が画面いっぱいに映し出される。

 あるツイッターユーザーは「誘拐され監禁されている少女を想像させる。まるで変質者の妄想だ」とコメントした。

 市の担当者が動画を削除したのも当然だろう。

 今月に入って最大野党の民進党に初の女性党首が誕生したものの、経済活動に占める日本の女性の地位はいまだ低いままだ。スイスのジュネーブに本部を置く非営利財団、世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」における日本の順位は、2014年は世界142カ国の中で104位、2015年版は145カ国中で101位だった。日本はカザフスタンやバングラデシュ、ジンバブエよりも順位が低い。

From Foreign Policy Magazine

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレ上振れにECBは留意を、金利変更は不要=ス

ワールド

中国、米安保戦略に反発 台湾問題「レッドライン」と

ビジネス

インドネシア、輸出代金の外貨保有規則を改定へ

ワールド

野村、今週の米利下げ予想 依然微妙
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中