最新記事

イノベーション

【特別寄稿】ソーラー飛行機で世界一周を成し遂げたスイス人冒険家が説く「今世界が求める生き方」

2016年7月27日(水)18時00分
ベルトラン・ピカール、アンドレ・ボルシュベルグ

Jean Revillard/Solar Impulse/Handout via REUTERS

<太陽光だけで飛ぶプロペラ機で世界一周に成功したばかりの2人が寄稿。彼らの偉業はいかにして可能になったか。徹底的にポジティブで革新的な生き方に染まりたい> (写真は、サンフランシスコ上空を飛ぶ「ソーラー・インパルス2」)

 太陽光だけで空を飛ぶプロペラ機「ソーラー・インパルス2」を開発し、化石燃料を使わない飛行機としては世界初の地球一周を成功させたスイス人冒険家2人が、「今世界が求める生き方」「不可能を可能にする生き方」の要諦を明かす。

 以下、ベルトラン・ピカールは「ソーラー・インパルス」の創始者兼会長。パイロットのアンドレ・ボルシュベルグはCEO兼共同創始者。

webt160727-02.jpg
ピカールの自撮り写真 Bertrand Piccard/SI2/Handout via Reuters

ベルトラン・ピカール「探検家の発想を」

 誰もが社会人になる前に、とても重要な決断をしなくてはならない。どんなタイプの人生を生きたいかを選ぶことだ。

 普通の人生を選ぶこともできる。習ったことを実行するだけの人生。安全地帯を築き、予測できないことや知らないこと、疑わしいこと、「?」マークに抗うだけの人生。定説や範例、常識に従うだけの人生。夢を見ることもない、悲しい人生。

 探検家や開拓者の人生を選ぶこともできる。知らないことや疑わしいことを受け入れ、それらが創造性やパフォーマンス、革新を引き出してくれると理解する。安全地帯から抜け出す。定説や常識と闘い、新しい発想で考える。なぜなら自由とはあらゆる角度から考えられるということだから。未知なるものと対峙する準備さえできていれば、夢と現実の間に境界などない。想像と達成の間にも境はない。そしてこれは、今日の世界が必要としている生き方でもある

【参考記事】世界一「チャレンジしない」日本の20代

 我々の社会は多くの課題に直面している――健康、貧困、人権、持続可能な開発、クリーンテクノロジー、再生エネルギー、環境保護、地球のガバナンス。新しい課題には新しい発想が必要だ。

 新しい発想をすれば、刺激的で有意義な人生が待っている。時に自己満足に陥ってしまうから、刺激的なだけではダメだ。退屈なこともあるから、有意義なだけでもダメだ。両方を得ようとしてほしい。探検家や開拓者の刺激的で有意義な人生は、この世界をより良い方向に変えられる

 私は家族から強い影響を受けたが、もちろん自らの行動は自分で選択しなくてはならない。非常に難しいことだった。個人的な経験を通して、常に好奇心を抱くようになり、新しい方法を探り、誰もやったことがないことに励んだ。科学的探求と開拓者精神は私の遺伝子に深く刻み込まれている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、16-17日に訪中 習主席との関係

ビジネス

インフレ低下の確信「以前ほど強くない」、金利維持を

ワールド

EXCLUSIVE-米台の海軍、4月に非公表で合同

ビジネス

米4月PPI、前月比0.5%上昇と予想以上に加速 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プーチンの危険なハルキウ攻勢

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 10

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中