最新記事

アベノミクス

安倍×バーナンキの持論組み合わせ、実質ヘリコプターマネーとの声も

2016年7月13日(水)20時10分

7月13日、安倍晋三首相とバーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長(写真)との12日の会談で、ヘリコプターマネーが議論されたのではないかとの観測が一部で浮上し、政府関係者は困惑の表情を見せている。ワシントンで2009年12月撮影(2016年 ロイター/Jason Reed)

 安倍晋三首相とバーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長との12日の会談で、ヘリコプターマネーが議論されたのではないかとの観測が一部で浮上し、政府関係者は困惑の表情を見せている。ただ、2人の持論を組み合わせると、実質的にヘリマネ的効果が出るとの声が政府部内にもあり、今後は政府が打ち出す経済対策の中味と財源に市場の関心が集まりそうだ。

 安倍首相は12日午後、関係閣僚に大胆な経済対策の策定を指示した。その直前にかつて、ヘリマネに言及したことのあるバーナンキ氏が安倍首相を表敬したことで、市場の一部に「ヘリマネ観測」が急浮上した背景がある。

 政府関係者の1人は「このタイミングで安倍首相とバーナンキ氏の会談が思惑を呼んでいるのは、承知している」と明かす。

 しかし、バーナンキ氏の来日は、資産運用会社PIMCOのアドバイザーとして、13日に都内で講演するのが主要な目的とされる。

 別の政府関係者は「このタイミングになったのは偶然。官邸や日銀を素通りするのも変なので、会談がセットされたに過ぎない」と、困惑の色を隠さない。

 複数の政府筋によると、安倍首相が冒頭に「デフレ脱却に向けて道半ば」との認識を示すとともに、構造改革と合わせ、積極財政をやっていくと語った。

 これに対し、バーナンキ氏は「金融政策に限界はない」と述べたという。

 菅義偉官房長官も12日夕の記者会見で、会談の場でバーナンキ氏から「財政政策で名目GDPを上げるとともに、それと協調して金融政策はやるべきで、日銀には金融を緩和するための手段はまだいろいろ存在するという指摘があった」と語った。

 この会談に同席した内閣官房参与の浜田宏一・米イエール大学名誉教授は「ヘリマネに関する具体的なやり取りはなかった」と記者団に語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・サウジ、安全保障協定で近く合意か イスラエル関

ワールド

フィリピン船や乗組員に被害及ぼす行動は「無責任」、

ワールド

米大学の反戦デモ、強制排除続く UCLAで200人

ビジネス

仏ソジェン、第1四半期は減益も予想上回る 投資銀行
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中