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製油所空爆だけではISISの資金源は潰せない

2016年1月19日(火)16時00分
アレッサンドリア・マシ

 ネット上に流通しているある文書によれば、イラクにおけるISISの本拠モスルでは、公共サービス部門が家畜の私有を禁じる命令を出し、「違反した場合は没収する」と警告した。同部門が出した別の文書は、職員が出勤しなければ「解雇の上、資産は没収」としている。

 国境周辺地域は、ISISにとって「宝の山」だ。アルタミミによれば、デリゾール行政区では文書に記された期間中、「人間の通行料と商品の通関料」に加え、270万ドル相当の没収による収入があった。

 ISISのこうした資金調達法は、アメリカ率いる有志連合にとって極めて厄介な問題だ。ISIS幹部と製油所への空爆作戦では、彼らの資金源を断つことは難しい。ISISを財政面で支えているのは、地元住民の存在そのものなのだから。

[2016年1月12日号掲載]

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