最新記事

中国

聞け、人民の声!――抗日戦勝軍事パレード

2015年9月8日(火)17時00分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

「ヒトラーには希特勒(シトラー)という文字を当てずに、今後は習特勒(シトラー)と書くべきじゃない?」

「毛沢東は日本が侵略してきて国民党軍を追い出してくれたことを感謝した。包子帝は大勢の客を北京に呼んで、存在しない戦勝を祝っている(筆者注:抗日戦勝の主力は国民党であることを指す)。閲兵ブルーで一瞬澄み渡った空を通して、ファシストって何なのかをよく見てみよう。温故知新っていうだろう?」

株式市場を皮肉って

「(閲兵式の)彼らは緑の帽子を被り、緑の服を身にまとい、(株価が下がることを表す)緑のろうそくチャートを手に持ち、青ざめた顔に千鳥足。彼らはパレードに参加するために、標高5,179メートル(上海総合指数の最高点)の山から転落してきた! ほら見ろよ、彼らの心は熱い。義侠心を極める者ならば、国のために株式市場を支えるのは当然であるという、かつてない決意を示している! 

首長:股民(グーミン。株式市場の個人投資家)、ご苦労様! 
股民:圏銭(企業)に金を搾られるために頑張ります!
首長:股民よ、みんな頑張って真っ黒に日焼けしたな!
股民:証監会(中国証券監督管理委員会)の方が黒いです!」
(筆者注:圏銭とは「上場企業が投資家の利益を顧みず株式発行などの手段により資本調達をすること」を指す。首長と股民の掛け合いは、習近平が閲兵式のときに車の上から中国人民解放軍に向けて「皆さん、ご苦労様!」と声をかけ、兵士が「人民のために頑張ります!」と回答する様をもじったもの)

「まずは空売り(からうり)の軍勢、つまり空軍が登場し、股民の努力でやっと株市場が持ち直した途端、今度は海外の空売り勢力が登場する。そして国家隊がやってきて株市場を救うために(下支えするために)動き出し、空売りの軍勢が一斉出動したら、国家隊がまさかのドタキャンをした!!!」

天安門事件を指して

 1989年6月4日、天安門広場に集まった民主化を叫ぶ若者たちを、人民解放軍が武力弾圧した。それを指示したのは共産党政権である中国政府。特に戦車で若者をひき殺したことに対して、ささやかな抗議を書き込んでいる。

「いまわれわれに向かってきているのは解放軍の戦車隊だ。彼らの精神は奮い立ち、意気軒高だ。戦車隊は抗日戦争では活躍していないけど、でも年齢が比較的高い北京市民は、この戦車隊の威力をみんなこの目で見ている。」

「20数年前に、若者たちがこの天安門広場に集まった。でも彼らは二度と戻ってくることはなかった。彼らはいま、その場所で眠っている。閲兵式の軍隊よ、武器よ、どうか静かに進んでくれ。彼らをもう一度踏みつけないでくれ、もう一度ひき殺さないでくれ。彼らは人民がここに戻ってくるのを待っている。目を閉じながら、後人のために道を示している。もう一度、ここに集う若者たちを守るために」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、2日に予算教書公表 環境・対外援助など

ワールド

イスラエル、シリア大統領官邸付近を攻撃 少数派保護

ビジネス

JAL、今期の純利益7.4%増の見通し 市場予想上

ワールド

NZの10年超ぶり悪天候、最悪脱する 首都空港なお
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中