寿命が来たら「赤ちゃん」に戻る...「不死」の生物が持つメカニズムが、人間に永遠の命をもたらすかも
The ‘Immortal’ Animal That Can Cheat Death
ベニクラゲは何度ライフサイクルを繰り返す?
ベニクラゲは、刺胞動物と呼ばれる水生無脊椎動物群の下位分類であるヒドロ虫類の一種だ。ヒドロ虫類は見た目こそクラゲに似ており、近縁でもあるが、構造的には異なっている。
幅、高さともに4.5ミリメートルほどと、人間の小指の爪よりも小さいベニクラゲは、飢餓などを含む環境的または物理的ストレスを受けると、死ぬ代わりに自らを若返らせる。
米フロリダ大学ホイットニー海洋生物科学研究所のクリスティーン・シュニッツラー教授(生物学)は本誌に対し、本質的には「ベニクラゲの細胞が新しい細胞型へと変化し、不健康、もしくはストレスを受けたメデューサ(成体のクラゲ)を、そこからポリプ(成体になる前のクラゲ)が成長できる組織の塊へと変える」と説明する。
このプロセス、すなわちメデューサが新たなポリプへと変化する現象は「分化転換」と呼ばれるが、これには24〜36時間しかかからないという。
研究によると、ベニクラゲの集団を2年間観察したところ、最大10回もの若返りが行われた。中には、若返りの間隔が1か月しかないこともあったという。
テキサスA&M大学の海洋生物学教授であるマリア・ピア・ミリエッタは、「物理的に損傷した場合や飢餓状態にある場合、温度変化によるストレスを受けた場合」、ベニクラゲは海底へ潜り、そこで変身を開始することで、「事実上、死を回避する」と本誌に語った。





