大西洋航路の往復運賃「5000ドル」の旅...21世紀の「超音速」旅客機は夢か現実か

FLIGHT OF FANCY

2025年5月12日(月)09時48分
シオ・バーマン(本誌記者)

シンフォニーは超音速での巡航を想定している。つまり、推力増強装置に頼らず超音速で飛び続けなければならない(コンコルドのエンジンは離陸時と加速時に推力増強装置を必要としたので騒音が大きく、燃費も悪かった)。

しかし、そもそも超音速旅客機は現状の亜音速機よりも高度を上げて飛ばなくてはならず、高速ゆえに空気抵抗も大きくなる。それだけ余計な燃料を消費することになり、結果として温室効果ガスの排出が増えるのは必至だ。

「それだけの高速を維持するには大量の燃料が必要で、(温室効果ガスの)排出も危険なレベルに達する」と指摘するのは、航空機の利用削減を求める団体ステイ・グラウンデッドのハンナ・ローレンスだ。


「超音速旅客機は通常の亜音速機よりも高度を上げなければならない。高いところを飛べば(温室効果のある)飛行機雲は発生しにくいと考えられるが、それだけ余計に燃料を消費することになる。飛行機雲の抑制効果より、過大な燃料消費による悪影響のほうが圧倒的に大きい。いま必要なのはフライト数の削減であり、超音速旅客機の導入ではない。地球の健康より業界の利益を優先するのは間違っている」

潜在需要は1000機に

ブーム社によれば、シンフォニーはどんな混合燃料にも、燃料の100%をSAF(持続可能な航空燃料)に置き換えることにも対応できるから脱炭素化に貢献できる。

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