最新記事
EV

「環境に優しい」は本当か? EV保有者のCO2排出量、非EVより多い原因は「高収入」

Electric Vehicle Owners May Have Larger Overall Carbon Footprints

2024年10月11日(金)11時10分
トム・ハワース
EV vs 非EV...実際のCO2排出量で見る驚きの結果 Vlad Tchompalov-Unsplash

EV vs 非EV...実際のCO2排出量で見る驚きの結果 Vlad Tchompalov-Unsplash

<環境に優しいとされる電気自動車(EV)。しかし最新の研究によると、EV保有者は非EV保有者よりも多くのCO2を排出していることが判明した。その原因として、EV保有者の高収入が大きく影響しているという>

環境に優しい電気自動車(EV)の保有者は、実は非EVの保有者よりもカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)が大きい──最新の研究でそんな傾向があることが分かった。

原因はEV保有者の高収入

科学誌「PLOS One」に掲載された研究によると、意外に思えるこの結論は、EV保有者の平均収入の高さと関係がある。

研究チームは、フィンランドで2022年に実施された実態調査CLIMATE NUDGEの回答者3857人のデータを分析した。その結果、EV保有と環境に対する全体的な影響の微妙な関係が浮かび上がった。

「一般的に、収入が多いほどカーボンフットプリントは大きくなる。これは収入が多ければ家が大きくなり、旅行や買い物が増えることによる」。筆頭著者のニルス・サンドマンは本誌にそう語った。

「フィンランドでいち早くEVに乗り換えた人は、平均よりも高収入の傾向がある。そうした人の方がカーボンフットプリントが大きい理由もそこにありそうだ」

この傾向は世界的に当てはまるはずだとサンドマンは言い、「EVへの姿勢に影響を与える心理的要因は、極めて普遍的」だと解説する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国のレアアース等の輸出管理措置、現時点で特段の変

ワールド

欧州投資銀、豪政府と重要原材料分野で協力へ

ワールド

新たな米ロ首脳会談、「準備整えば早期開催」を期待=

ビジネス

米政権のコーヒー関税免除、国内輸入業者に恩恵もブラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 8
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中