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地産資源を使い、宿泊客と地域の未来を「共創」――スーパーホテルが挑む、地域活性化の最前線

2025年12月15日(月)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

持続可能な地域社会実現のため、顧客も自然に巻き込む

このプロジェクトは2024年7月、ホテル開業の約1年も前に開催した地域の草原保全団体・公益財団法人阿蘇グリーンストックとの勉強会から始まった。阿蘇の草原が実は人の営みによって維持されてきたことを学んだホテルの支配人や社員は、翌年4月に「茅刈りイベント」を企画。野焼き(草原維持活動)に必要な茅刈りに自ら参加し、課題を肌で感じ取った。

茅刈りイベント

阿蘇グリーンストック、Spacewaspと共同で開催した「茅刈りイベント」。阿蘇の草原保全を目的としている


刈り取った茅は廃棄するのではなく、パートナー企業の株式会社Spacewaspとの協業を通じてホテルのラウンジテーブルへと再生した。

さらに、同年5月にはオープン直前のスーパーホテルPremier阿蘇熊本空港でファンミーティングを開催し、ワークショップに参加したファン(ホテルの顧客)と共に茅材を使ったオブジェを制作。阿蘇の草原保全活動を楽しみながら体験できる仕組みを構築した。

この一連のプロジェクトは、支配人や建設担当、開業メンバー、そして三浦留奈氏ら経営品質本部サステナビリティ推進室による部署横断チームが推進したもの。三浦氏は「地産資源の活用は、スーパーホテルのコンセプトでもある『Natural』を表現する方法として非常に効果的であると考えています」と語る。

参加した顧客たちからは、「地域のためになる取り組みに参加でき、ありがたく思います」「茅材のオブジェづくりに参加できたこと。貴重な思い出になりました」といった声が寄せられた。宿泊そのものが地域との接点となり、いつしか阿蘇再訪のきっかけにもなるだろう。

スーパーホテルの取り組みの最大の特徴は、多様なステークホルダーを巻き込む「共創型サーキュラーエコノミー」にある。茅材を価値ある「地産材」としてアップサイクルし、顧客と共に課題に向き合うことで、地域・顧客・企業・地球の「四方よし」を実現する。SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に直結する取り組みだ。

また、課題解決のパートナーとして顧客を巻き込んでいる点も見逃せない。茅のオブジェを「共創」するような体験は、顧客が楽しみながら地域課題に貢献できる機会を提供し、地域と顧客が結びつくきっかけを創出している。これはSDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の精神を体現していると言える。

他にも、同社は朝食でご当地グルメを提供するほか、スタッフが地域の魅力を発信する「ご当地結びスタ」などの取り組みを展開。宿泊者が地域とつながる体験を通じて、何度もその土地に足を運んでもらうことで、地域活性化につなげていく。

三浦氏は「それぞれの地域には、その土地ならではの魅力や課題があります。一つひとつの地域に真摯に向き合い、お客様と共にその価値を未来へつなげていく。この活動を全国に広げていくことが、私たちの次なる目標です」と未来を見据えて意気込む。

観光業は今、日本経済の重要な牽引役の1つだ。地方の持続可能な活性化のカギは、このような地域に根差したホテルが握っているのかもしれない。

アンケート

どの企業も試行錯誤しながら、SDGsの取り組みをより良いものに発展させようとしています。今回の記事で取り上げた事例について、感想などありましたら下記よりお寄せください。

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