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宿泊客にサステナブルな体験を...スーパーホテルはどうやって全宿泊を「CO₂実質ゼロ泊」にできた?

2025年12月1日(月)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
CO₂を実質ゼロ泊

スーパーホテルでは宿泊時に発生するCO₂を実質ゼロにする「CO₂実質ゼロ泊」を実現。カーボン・ニュートラルへ向け脱炭素経営を加速し、サステナブルな宿泊体験を提供

<2001年に環境ISO14001を取得、ホテル業界で唯一エコ・ファースト制度の認定を取得するなど、環境問題にいち早く取り組んできたスーパーホテル。さらなる持続可能な社会を目指して取り組む、地域連携と環境負荷の低減とは?>

日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。

私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


脱炭素に貢献しながら宿泊客にサステナブルな体験を提供する「CO₂実質ゼロ泊」


環境大臣が「先進的、独自的でかつ波及効果のある事業活動」を行う企業を認定するエコ・ファースト制度において、ホテル業界で唯一この認定を受けている株式会社スーパーホテルは、温室効果ガス削減に向けた取り組みに注力している。

スーパーホテルが活用しているのは「カーボン・オフセット」だ。カーボン・オフセットとは、経済活動において避けることができないCO₂等の温室効果ガスの排出について、まず削減努力を行い、削減しきれない温室効果ガスについては、排出量に見合った温室効果ガス削減活動に投資することなどにより埋め合わせる考え方を指す。

スーパーホテルはもともと、全店舗でカーボン・オフセット付宿泊サービス「ECO泊」を展開しており、2024年からはその進化版として「CO₂実質ゼロ泊」をスタートさせた。

この「CO₂実質ゼロ泊」は、スーパーホテルのすべての宿泊を対象に、顧客の宿泊に伴うCO₂排出量を実質ゼロにする取り組みだ。

具体的には、宿泊時のガス・水道の使用によるCO₂排出量を100%カーボン・オフセットし、電力も全店舗で実質CO₂フリー電力への切り替えを行う。電力会社のCO₂フリープランや非化石証書を活用し、全国のスーパーホテルで再生可能エネルギー由来のグリーン電力を導入している。

同社は2010年、業界に先駆けて宿泊時に発生するCO₂をカーボン・オフセットする「ECO泊」を全店導入して以来、「自社の出すCO₂に責任を持つ」という姿勢を貫いてきた。これは公式サイト予約および「Premier」店舗の利用客を対象に、宿泊に伴うCO₂排出量を算定・100%カーボン・オフセットする取り組みだ。

2024年3月末時点で「ECO泊」宿泊数は延べ2543万6627泊にのぼり、CO₂削減量は累計13万8687トンを記録。環境省から気候変動アクション環境大臣表彰【普及・促進部門】を受賞するなど評価も高い。

そして2024年10月からは、「ECO泊」の考え方をさらに発展・拡大し、すべての宿泊を対象とした「CO₂実質ゼロ泊」を開始。これにより、宿泊時のガス・水道使用によるCO₂排出は100%カーボン・オフセット、電力は全店でCO₂フリー電力化を実現することで、年間約2万4000トンのCO₂削減効果が見込まれている。

この取り組みは、国内の大規模ホテルチェーンとしては初の試みだ。現在全国176店舗以上・年間700万人を超える宿泊客が利用するスーパーホテルが、脱炭素社会への行動変容を促すプラットフォームとして機能することを目指す。

また、宿泊客への周知・共感の醸成にも力を入れており、チェックイン時には「CO₂実質ゼロ泊」の案内カードを配布。宿泊客一人ひとりに「あなたの宿泊が環境保全に貢献しています」と伝えることで、宿泊客参加型の脱炭素アクションを推進している。

さらに、宮崎県にあるスーパーホテル2店舗で発生したCO₂に関しては、同県諸塚村地域が発行しているカーボンクレジットを購入しており、地域貢献と地球環境保全活動への貢献の両立を実現している。

「地球環境に貢献する取り組みのきっかけは、水俣市からの要請で2001年に取得した環境ISO14001です。環境への取り組みは『地域も人も元気にする』と信じ、ホテル業界の環境先駆者として業界全体の環境意識向上に貢献してきました」と、経営品質本部サステナビリティ推進室の三浦留奈氏は言う。

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