最新記事
マラソン

運動後の疲労回復に!スポーツ健康科学の教授が教える最強の回復食

2025年3月3日(月)09時56分
後藤 一成 (立命館大学スポーツ健康科学部教授)*PRESIDENT Onlineからの転載

運動した直後に糖質を補給すべき

もう一つのポイントは、糖質を摂取するタイミングです。運動後速やかに糖質を摂取すると、グリコーゲンの回復が早くなります。図表1は、長時間の運動によって筋肉のグリコーゲンが枯渇した直後に糖質の含まれた飲料を摂取した場合と、同じ飲料を運動の2時間後に摂取した場合のグリコーゲンの回復の違いを示したグラフです。

【図表1】運動後の糖質摂取のタイミングが筋肉のグリコーゲン回復に及ぼす影響

出所=『最新のスポーツ科学で強くなる!』

運動直後に糖質を摂取した場合には、運動後最初の2時間でグリコーゲンが急激に回復していることがわかります。一方で、運動2時間後に糖質を摂取した場合、その後(運動2~4時間後)、グリコーゲンの回復速度が最大になることはありません。このことからも、「運動後速やかに糖質を摂取する」ことの重要性を理解できます。


一方、練習後速やかに栄養満点の食事をとることは難しいでしょうから、おにぎり、バナナ、エネルギーゼリーなどを準備しておくと良いでしょう。

カロリーは同じでも、栄養素によって効果が違う

タンパク質というと、私達は「筋肉づくり」をイメージします。身体を大きくしたいスポーツ選手が、筋力トレーニングを行った後、プロテインパウダーでタンパク質を摂取する、これが一般的なイメージではないでしょうか?

一方、スタミナが必要な陸上競技の長距離選手が練習後にプロテインパウダーを摂取する光景はあまり目にしません。この点に関して、重要な研究結果を紹介します。

図表2は、長時間の運動後に、「糖質80gを摂取した場合」「糖質108gを摂取した場合」「糖質80g+タンパク質24gを摂取した場合」でのグリコーゲンの回復の様子を示したグラフです。

【図表2】運動後における糖質+タンパク質摂取の効果

出所=『最新のスポーツ科学で強くなる!』

その結果、「糖質80g」に比べて「糖質108g」の方が筋肉のグリコーゲンの回復は早いことがわかります。これは予想通りの結果です。注目していただきたいのが、「糖質80g+タンパク質24g」の条件です。

糖質の摂取量は「糖質108g」よりも少ないのですが、タンパク質24gを加えることでグリコーゲンの回復が早くなっているのです。ちなみに、「糖質108g」と「糖質80g+タンパク質24g」の摂取カロリーは同じです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ミネソタ州議員銃撃、容疑者逮捕 標的リストに知事

ビジネス

米FRB、金利は据え置きか 関税問題や中東情勢不透

ワールド

豪中銀、金融政策委の投票内訳開示の方針

ワールド

イランの報復攻撃にさらされるイスラエル、観光客4万
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中