スーパーマンが「明るいヒーロー像」を引っ提げて帰ってきた! 立ち向かうのは現代社会の世相?
Superman the Interventionist

地球の太陽にエネルギーをもらい、超人的な力で人類を救うスーパーマン © & TM DC ©2025 WBEIFrom
<全世界公開中の新作「スーパーマン」では期せずして、トランプの移民排斥やロシア、イランといった国の国際情勢などが反映されている>
空を見ろ! 鳥だ! 飛行機だ!──いや、アメリカ例外主義のシンボルだ!
あのヒーローが帰ってきた。
7月、世界で映画『スーパーマン』が公開された。ジェームズ・ガン監督が脚本も担当し、お人好しすぎるくらい純朴な正義の味方をユーモアを交えてつくり上げた。
ザック・スナイダーが監督した『マン・オブ・スティール』(2013年)の悩めるスーパーマンとは一線を画す、明るいヒーロー像だ。
それにしても87年も前に生まれたコミックのキャラクターが、今もドル箱スターなのはなぜなのか。
胸に「S」のマークを付けて空からさっそうと舞い降り危機を救うスーパーマンは、マクドナルドのハンバーガーや高額な医療保険料と並ぶ「アメリカの顔」と言える。
そのマントに隠された本質は実にシンプル。スーパーマンはアメリカの理想を体現する。「アメリカは他国にない価値観や暮らしを提供する例外的な国」だと主張しても、トンデモ扱いされなかった時代の申し子なのだ。
原作のジェリー・シーゲルと作画のジョー・シュースターはどちらもユダヤ系移民の息子として、オハイオ州クリーブランドで育った。2人がアメリカンドリームをコミックの形で描き、1938年に誕生したのが『スーパーマン』。移民が新天地で力を蓄え、その力を使って人類を守り、人類に尽くす物語だ。