俳優ダレン・クリスが語る「心の底から求めるやりたいこと」──トニー賞6冠で演じた「ロボットの恋」
Lightning in a Bottle

フィリピン、中国、スペインの血を引く母親を持つクリス LAUREL HINTON
<感情を持つロボットの恋を描いた『メイビー、ハッピーエンディング』は、韓国発のミュージカル作品として異例の成功を遂げ、今年のトニー賞で10部門にノミネート、最多6部門に輝いた>
人気ミュージカルドラマ『Glee/グリー』のブレイン役で名をはせたダレン・クリスは根っからの「ミュージカルオタク」。だからこそトニー賞にノミネートされた『メイビー、ハッピーエンディング』への出演を、彼は心から誇りに思っている。
物語の舞台は未来のソウル。主演のクリスが演じるのは人間のような感情を持つロボットのオリバー。彼は同じくロボットのクレア(中国系米国人のヘレン・シェン)に恋をする。クリスはこの作品の成功と評価を「奇跡以外の何物でもない。俳優なら誰もが一度は夢見ることだ」と語る。
本作は今年のトニー賞で、クリスの主演男優賞を含め10部門でノミネートされた。多くの人がその魅力を認めていることがうかがえる。「この作品が他の国でも、他の次元でも長く上演されることを願っている」とクリスは語る。
実際、本作は今やブロードウェイにおける多様性とアジア人の物語の象徴的な存在といえる。「いかに多様性が重要かを、こうして文化的・社会的な観点から語り合うことに大きな意味がある」と語るクリスに、本誌H・アラン・スコットが話を聞いた。
──この作品はどうやって生まれたのか。
この作品で興味深いのは、脚本と作曲でタッグを組んだウィル・アロンソンとヒュー・パークが、最初からブロードウェイを目指していたわけではないこと。初演の韓国で大成功を収め、中国や日本でも上演された。
文化も言語も違う国でこれほど受け入れられたのは、作品が持つ普遍性の証しだと思う。批評家の絶賛に勢いを得て、満を持してアメリカに戻ってきたんだ。