最新記事

映画

ジェームズ・ボンドへの愛憎入り混じる想い

最新作の公開を前に、クレイグが明かした驚きの本音 

2015年10月26日(月)16時00分
ナタリー・イルスレー

またボンドを演じるくらいなら いっそ手首を切る、とクレイグ(写真は『007 スペクター』より) SPECTRE ©2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved.

 ジェームズ・ボンドを再び演じるくらいなら自分を傷つけるほうがまし──シリーズ最新作『007 スペクター』の公開を今月末(日本公開は12月)に控えるダニエル・クレイグは、そう考えているようだ。

 英タイムアウト誌の取材でボンド映画をもう1本撮ることを想像できるかと聞かれ、こう言い放った。「今? このグラスを割って、手首を切るほうがましだね。まったく想像できない......終わったばかりだ。ただ前に進みたい」

 ボンド役からはもう離れる?と重ねて尋ねられると、クレイグは率直に答えてみせた。「それについては何も考えていない。少なくとも1~2年は考えたくない。ボンド映画をまたやるとしたら、それは金のためだ」

 06年の起用以来、シリーズ4作に主演したクレイグを見るのは『スペクター』が最後か......といえば、そうとも限らない。

 06年の『007 カジノ・ロワイヤル』では英映画・テレビ芸術アカデミー賞の候補になり、ボンドシリーズの合間には『ドラゴン・タトゥーの女』(11年)のようなほかの映画にも出演するクレイグ。ボンド映画に対する彼のコメントはこれまで二転三転しており、過去のインタビューからは愛憎入り交じる想いが見て取れる。

 12年の『007 スカイフォール』の撮影前には、「完璧なボンド映画があるはず。それをなんとしても実現したい」とGQ誌に語った。だが8カ月後のローリングストーン誌のインタビューでは、ボンドを演じることへの嫌悪を見せている。「この役を始めたときから、辞めようとしてきた。でも解放してもらえなくて、あと数作は出演することに同意した。でもそれも今回の作品の興行成績による。ビジネスはビジネスだし、もしもうまくいかなかったら誰かがケツを拭く契約になっている」

映画としては高く評価

 彼はこの記事の中で、公開直前だった『スカイフォール』をこう要約した。「かなりいい。軽いタッチで、まあ分かるだろ。結局のところ、ジェームズ・ボンド映画だからね」

 現在は『スペクター』の宣伝活動中だが、そこでもクレイグは相変わらずだ。観客がまだ007に興味を持っていると思う理由を聞かれて、冗談で返した。「いい物語は長続きするという古い格言へのこだわりさ。それから30分ごとに起きる爆発。そういうものだ」

 エスクァイア誌の10月号では、ボンドというキャラクターを辛辣にこき下ろした。「とにかくものすごく孤独な男だ。深い悲しみがある。美しい女性たちと寝るけど、彼女たちは去っていく。それに男が年を取るのも惨めな話だ。悲しいね」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中